第4節 教育調査・研究事業
1 共同研究(3年継続、2年次)
(1)研究主題
養護教育における教材・教具の工夫と活用に関する研究
(3年継続、2年次)
一教材・教具の工夫と活用の実践(その1)一
(2)研究の趣旨
教材・教具の工夫と活用に関する研究や実践は、全国的
にも各方面で行われており、教育のみならず、保育、療育
のさまざまな分野においても必要性と重要性が着目されて
いる。
子供たちの主体的、自主的活動や実態に応じたきめ細か
な学習を推進し、子供のよりよい発展を促すためには、教
材・教具を適切に活用することが大切である。
養護教育の分野でも適切な指導、援助のために日常的に
教材・教具が活用されている。
また、児童生徒の障害が、重度・重複化、多様化の傾向
にある現状において、一人一人の発達を促すための教材・
教具の創意工夫と活用は必要不可欠なものであり、教材・
教具そのものが日々の指導援助の核になっているといって
も過言ではない。
これらを受けて、対象児童生徒の障害の種類や教材・教
具の使途を特に限定せずに養護教育全般における教材・教
具の工夫と活用に関する共同研究を進めることとした。
(3)研究の構想
本研究は、県内の盲・聾・養護学校、特殊学級・通級指
導教室設置小・中学校における教材・教具の工夫と活用に
関する現状を調査研究するとともに、障害のある子ども一
人一人の実態に即した、効果的な教材・教具の工夫と活用
の方向性を探り、さらに子どもの実態をふまえた教材・教
具の工夫過程を明らかにすることを目的として研究
を行う。
(4)2年次の研究
本年度は、教材・教具の工夫過程を明らかにするととも
に教育現場における教材教具の活用に関する実践的な共同
研究を実践する。
研究目的
養護教育における教材・教具の開発・活用の基本的な
ねらいと利点を明確にしながら、各障害に即した自作教
材・教具の開発・活用・整備・流通のあり方を探る。
また、教材・教具の工夫と活用に関する意識の調査及
び実践を通して教材・教具の重要性と工夫過程を明らか
にする。
(5)研究の成果
本年度は次の2つの研究を進めた。
1)調査研究(アンケートB)
前年度実施したアンケートAの結果を踏まえ、さらに
調査を必要とする学校(個人)に対してアンケートBを
実施する。
その結果、今回の調査では、173名の教員から自作教
材・教具を作成し、授業に活用しているとの回答が得ら
れた。
2)研究協力校における実践研究
研究協力校《福島県立聾学校》
研究協力校の担当教師及びセンター担当者が対象児の
実態を把握し、逐次情報を交換しながら教材・教具を工
夫し、製作する。工夫過程の把握については、担当教師
の教材・教具に対する意識や意図及び対象児のニーズに
応じた教材・教具の製作について十分に情報交換を行い
ながら進める。
(6)調査研究及び実践研究の結果のまとめ
1)調査研究について
今回の教材・教具の工夫と活用に関する意識調査によ
り、次の点が明らかとなった。
教師が教材・教具をなぜ必要としたのか、何をねらっ
て教材・教具を活用したかが分かり、現場の教師が実際
に教材・教具をどのように活用したいかを明確にするこ
とができた。教材・教具は児童生徒を中心に作製させる
べきであることを改めて確認することができた。
調査の結果、児童生徒は、教師が自作した教材・教具
に興味・関心を持ち、学習に取り組んでいる実情が推察
できた。
子供の主体的活動を援助する視点で教材・教具の工夫
と活用を図ることが大切である。教材・教具の工夫と活
用にあたっては、子供の興味・関心、ニーズを考慮しな
がら指導目的、指導者の意図と相互にかかわり合いを持
たせることが大切である。教材・教具の活用にあたって
は、子供と教材・教具のかかわりの状態を大切にする必
要がある。
2)教材・教具の工夫と活用に関する実践研究
実践研究では、児童生徒が教材・教具にどのようにか
かわり、日頃どのように生活をし、どのような学習を進
めているのか等、子供の実態把握を行いながら意図を明
確にし、実際に自作教材・教具の作製を行うことができ
た。
(7)今後の課題
教材・教具に関する研修講座へ本研究の成果を採り入れ、
研究内容を充実させたが、まだまだ不十分であった。来年
度の当センターの専門研修講座の中に現場の教員のニーズ
にかなった具体的な講座の運営を図るために体系的な研修
内容を構築しなければならない。
調査研究によって収集した資料の分析・考察を更に深め
るとともに、継続して資料の収集を行うことも重要で
ある。
なお、今回の調査研究で得た多くの自作教材・教具の広
報に努めることも当センターに課せられた役目と考えられ
る。
(8)継続研究
養護教育におけるコンピュータの活用に関する継続研究