教育年報1996年(H8)-196/254page

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3)「テスト」の実施時期・実施校・サンプリング数

福島市内8校の協力を得て、平成8年11月〜12月に実

施した。サンプリング総数は約1,000である。

「テスト」実施後、答案分析を進め、児童生徒のつま

ずきの実態を校種・教科ごとにそれぞれ明らかにした。

その内容については、今後さらに分析を進め、本県の学

力向上のために有効に活用していきたい。

3 情意面を重視した授業改善のための

実践的研究

―基礎学力向上のための情意面の活性化一

科学技術教育部

(1)研究の趣旨

学力の認知面と情意面のかかわりを重視し、思考を情意

面から認知面への橋渡しをするものととらえ、情意面を活

性化し、思考を促すような方策を盛り込んだ授業を展開す

ることによって児童生徒の知識・理解、技能を確かなもの

とする実践研究を行った。研究教科は理科と技術・家庭で

ある。

(2)研究の概要

1)支援要求傾向の把握

学習目標達成に向けて児童生徒が教師に支援を求める

傾向を自己評価で把握し、それに配慮した授業実践を行っ

た。

2)思考のとらえ方

思考を情意面から認知面への橋渡しをする活動ととら

えた。実践では科学的思考に焦点をあて、科学的思考を、

事実関係の把握、相互関係の把握、因果関係の把握、総

合関係の把握という、事象認識の段階の視点からとらえ

た。

3)情意面を活性化する方策を盛り込んだ授業の実践

関心、意欲から主体的な思考へと、児童生徒の情意面

を活性化する方策を工夫し、観察・実験、実習を主にし

た授業の中で実践した。

4)科学的思考をみる問題の作成

科学的思考をみるためのテスト問題を事象認識の段階

という視点から作成した。

(3)研究の成果

1)児童生徒の支援要求傾向を把握することで、教師が配

慮すべき点が明らかになった。

2)児童生徒の期待に配慮した支援や具体的方策を講じる

ことによって、関心、意欲を高め、主体的な思考活動を

促すことができた。

3)情意面を活性化し、思考させる方策は、知識・理解、

技能の獲得に有効であった。

4 教育情報ネットワークシステム調査研究

情報教育部

(1)調査研究の目的と趣旨

各種の教育情報・教育資料を提供するなど、教育活動を

支援する「教育情報ネットワークシステム」を構築するた

めの調査研究を進める。

〈目的〉

1)教育情報資産の有効活用

2)学校・教育関係機関における教職員の教育活動の支援

3)児童生徒の学習活動の支援

4)教職員の資質向上による児童生徒の学力向上

ネットワークシステムは、教育情報データベースの構

築、ソフトウェアライブラリセンターの活用、教育用自

作ソフトウェア開発のための情報処理技術者(SE)の

活用、ネットワークを利用するための機器構成等を考え

ている。

(2)今年度の調査研究進捗状況

1)教育情報データベースの構築

ライブラリセンター所蔵ソフトウェアのデータベース

化やホームページ作成等についての研究を進めている。

2)ソフトウェアライブラリセンターの活用

学校の授業等に使用する学習ソフトウェアの検索、試

用を行う機会を提供することにより、学校の実態に即し

たソフトウェアの選択ができるようになり、さらに教職

員のコンピュータ活用による授業改善の研究や研修活動

の場として有効に利用されている。

3)情報処理技術者と協力して教育用ソフトウェアの開発

を行い効率的な共同開発についての研究を進めている。

4)パソコンによるネットワーク利用の調査・研究

ネットワークシステムの機器構成についての研究やイ

ンターネット・通信回線(ISDN等)についての研究

を進めている。

5 児童生徒の学校適応への指導援助の在り

方に関する研究(第2年次)

教育相談部

本研究は、平成7年度から2年継続の研究である。

児童生徒一人一人が生き生きとした学校生活を送り、自己

実現を図っていくには、その基盤となる学級の人間関係づく

りがポイントであると考え、実践的な研究を進めてきた。

学級の児童生徒を適応か不適応かの二分する見方から一歩

踏み込んで、表面上は適応が図られているように見えて、実

は学級に同調しているだけの児童生徒を《順応》としてピッ

クアップした。そしで、学級担任の目が届きにくいと思われ

るこの順応児童生徒を中心に研究を進めた。

第1年次の昨年度は、構成的グループ・エンカウンターの

中から自己理解や他者理解が深まるものを取り上げて、校種

ごとの発達段階を踏まえた表現方法を工夫するなどして、指

導援助にあたった。その結果、学級成員相互の心理的な距離

が近づき、好ましい人間関係づくりが進んだ。

第2年次は、平成7年度の研究成果を踏まえ、「一人一人

のよさや違いを認め合う学級の人間関係づくり」を目標にし

て研究を進めた。

具体的には、構成的グループ・エンカウンターの中から、

特に、他者受容が進むものを取り上げて、自他の理解をさら

に深めるようにした。さらに、演習での活動内容をきっかけ

とした小集団による話し合いを取り入れ、自己の新たなよさ

を意識させることをねらって指導援助にあたった。

2年間の研究の結果、順応の児童生徒を中心に、学級内の


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