教育年報1996年(H8)-199/254page

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第13章 福島県養護教育センター

第1節 概  要

福島県養護教育センターは、「地方教育行政の組織及び運

営に関する法律」第30条に基づく教育機関として、昭和61年

4月1日に開所し、以来、10年余り、関係機関と連絡協調し

ながら、障害児に関する教育相談、教職員研修、調査・研究、

広報・啓発等の事業を行ってきた。

今年度は、開所から数えて12年目であり、さらに20周年に

向け、時代の要請と養護教育関係者のニーズに応えるべく、

新たな充実発展をめざして各種事業を推進してきた。

1 教育相談事業

教育相談事業は障害児、またはその疑いのある就学前幼児、

児童生徒について、障害の種類や程度に応じた養育、教育、

就学及び進路等について適切な措置がとられるよう、保護者

や学校、幼稚園、保育所、市町村教育委員会からの相談に対

応し、必要に応じて嘱託医及び関係機関と連携し検査・観察・

診断を行い、専門的かつ総合的観点から教育相談を推進して

きた。

本年度は、教育相談、就学相談の適正かつ有効な取り組み

を継続的に実施するとともに、特に重点として地域相談室の

充実を図った。それぞれの相談室では、保健所、病院、役所、

通級指導教室等に出向き、地域相談室の啓もうをしたり、相

談後の状況について関係者との連携を深めたりした。

また、本県の広い地理的条件を考慮して巡回就学相談を実

施するに当たり、この広報に工夫し県民への周知に努めた。

本年度の教育相談の実件数は昨年度比で97%あったが、延

件数としては106%となり実質相談件数は増加している。

2 教職員研修事業

本県の養護教育担当教職員を主な対象として、障害児を取

り巻く社会の変化や多様な教育ニーズをふまえ、当センター

が行っている組織的研究や教育相談等の成果を生かした基礎

的・基本的な知識及び技能の習得に関する研修や養護教育に

関する専門的知識・技能、一般教養についての研修を実施し

てきた。

専門研修は、新たな視点から16研修講座を構築し、基本研

修では、県の現職教育計画に基づく経験者研修1・2・3、

初任者研修を実施し、教員の資質、指導力、専門性の向上を

めざした研修事業を推進した。

専門研修講座の総受講決定者は、284名であり、基本研修

受講者総数は、218名(経験者研修79、初任者研修39、その

他の研修100)であった。また、研修の機会を広く多くの教

職員に提供するため実施した公開講座(4講座)の聴講者総

数は、68名であった。

3 教育調査・研究事業

養護教育センターに課せられた研究機関としての役割と使

命を達成するため、本県が当面している養護教育振興上の課

題及び学校における教育実践上の具体的課題と関連するもの

として、次の調査・研究を行った。

共同研究1は、「養護教育における教材・教具の工夫と活

用」をテーマとして平成6年度から3か年計画による研究で

あった。本年度は、その3年次であり、県内の盲・聾・養護

学校のうち5校に研究協力を依頼して、実際的な現場での実

践を通して研究を行った。

共同研究2は、当センターにおける前回の(第3期平成3

〜5年度)共同研究「養護教育におけるコンピュータの活用」

の発展として研究を推進した。本研究は、手足を使用しなく

ても済む「音声入力装置」を開発し、肢体不自由児用コンピュー

タの活用に大きく工夫改善を加えた。

共同研究3の「教育相談に関する研究」は、今年度新たに

設定した研究であり、当センターで現在進行している教育相

談の事例を通して、学校における教育相談の望ましい在り方

について、センターと家庭、学校のかかわりの中で継続的に

研究を進めてきた。

これらの研究の成果は、研修講座や教育相談の内容に反映

させるとともに、紀要第11号として刊行し、併せて第11回当

センター研究発表会において発表した。

4 教育図書・資料の収集・提供事業

本県養護教育の中心的施設としての機能の充実をめざして

広く養護教育関係図書・資料の収集に努め、関係教職員等が

活用できるよう整備、充実を図ってきた。

本年度は、特に指導関係資料として学習指導案等の収集を

重点的に行ってきた。

なお、3月末日現在で養護教育関係図書の蔵書数5,962冊、

逐次刊行誌29種、指導資料数は1,644点である。

5 広報・啓発事業

養護教育センターの事業内容及び調査・研究の成果を紹介

し、その普及を図るとともに学校及び社会の養護教育に対す

る理解と認識を深め、併せて人間性を重視した学校教育を推

進するための広報活動を行ってきた。

主な事業としては、所報「養護教育」40、41、42号の発行

と「研究紀要」第11号、心身障害児ハンドブック「からだの

弱い子」及び巡回就学相談リーフレット等による広報活動で

ある。

これらは、県内の盲・聾・養護学校をはじめ養護教育関係

機関等に配付し、養護教育の啓発を図った。

また、広報誌「教育福島」や当センター自作の「ふれあい

めえる」ミニコミ誌等をとおして、広く県民の養護教育に対

する理解と認識を得られるようその内容の充実に努めた。

第2節 心身障害児の教育相談事業

1 相談対象

対象は障害児、またはその疑いのある乳幼児、児童生徒と


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