教育年報1997年(H9)-125/258page

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期をどのように乗り切るかという問題がある。このため、

サンマには産卵期のズレがあることから、このズレをう

まく利用して、稚魚あるいは卵を収集し育成後展示する

ことが必要となる。

 また自然界からの展示生物補給では、確実に入手でき

るとは限らないことから、併行して飼育下で繁殖させ自

己生産を行う研究が重要となる。このような課題に対応

した調査・研究を行った。

3) 実験項目

・ サンマ稚魚の採集、蓄養、輸送に関する実験

高知県にて採集した稚魚の輸送に関する実験

・ サンマ卵の採集、輸送、管理に関する実験

小名浜沖における卵の採集と輸送、管理方法につい

ての実験

・ 稚仔魚の育成に関する実験

・ 水槽内産卵に関する実験

稚魚の育成、成熟後、人工産卵床に産卵させる実験

・ 飼育下で得られたサンマ稚仔魚の育成実験

飼育下で得られた2世を飼育し、生産技術を確立す

るための予備実験

4) 実験成果

・ 世界初のサンマ累代飼育を継続(3世稚魚を育成)

・ 産卵、孵化させ育成した成魚の飼育日数が280日を

超えた。

 このように、外洋性の魚類(サンマ)を、長期飼育し、

完全飼育下で産卵・孵化させ成魚まで育成するなど、飼

育技術上、大きな成果を挙げることができた。

 サンマなどの広域回遊魚(広い範囲を回遊して生活す

る魚)を研究することは困難なこととされており、今回

の完全飼育と繁殖に成功したということは、サンマの生

態、進化、資源量を知るための基礎的な資料を得る意味

で、学術的にもたいへん貴重なことである。また、サン

マだけではなく、近縁の魚類(サヨリ、トビウオなど)

についてもこの飼育技術が、応用できるものと期待でき

る。

(3) その他の生物の飼育実験

1) メダカの繁殖

 磐梯町と相馬市で採集したメダカの繁殖

併せて、メダカ分布調査を実施

2) サヨリの飼育

 小名浜沖のサンマ卵採集時にサヨリ卵も入手できたた

め、サンマ水槽で孵化・混養させて育成実験を実施。

長く突出している下アゴが特徴のサヨリも、水族館で

の飼育は困難とされている。

3) ウスメバルの飼育

 成魚は深海に生息していて採集困難な種類だが、稚魚

は表層の流れ藻で生活する特性を有する魚種。

 小名浜沖のサンマ卵採集時に入手できたので水温を調

節しながら育成。

5 マリンシアター大型映像ソフト制作

(1) 企画・制作の目的

 マリンシアターは、「海洋文化・学習施設(仮称)整備

基本計画」で本施設の核の一つとして位置づけられ、最新

の技術を活用した大型映像シアターとして、多彩な映像を

提供する役割を担うこととしている。

 特に、施設の基本理念などのメッセージを魅力的で楽し

く紹介するオリジナル映像ソフトについては、平成9年度

からその制作に着手し、平成11年度までの3か年事業で実

施する。

(2) 訴求テーマ

 豊かで美しい自然に恵まれた福島県の内陸水系や沿岸部、

さらには本県沖に広がる黒潮と親潮の出会う「潮目の海」

のダイナミックな生態などを主に実写映像により紹介する

ことを基礎イメージとしつつ、併せて「海を通して『人と

地球の未来』を考える」という基本理念を来館者に分かり

やすく伝えることができる内容とする。

 なお、次の各点にも十分留意するものとする。

・ 施設の基本理念や展示方針等に沿った質の高い内容と

するとともに、楽しみながら様々な知識を得ることがで

きるものとする。

・ 最新の映像技術を積極的に取り入れるなど、先進的な

内容とすること。

・ 子どもから高齢者までの幅広い人々が理解しやすい内

容であること。

・ 映像だけでなく、音響や照明等の効果的な使用も考慮

すること。

・ リピーターにも配慮した内容・構成であること。

(3) マリンシアターの概要

1) 客席数 204席

2) スクリーンサイズ 300インチ

3) 主要機器

ア 映像ソース ハイビジョンLDプレーヤー等

イ 映像出力 ハイビジョンプロジェクター

(4) 企画・制作委託先

 映像制作会社9社による企画コンペを実施して株式会社

NHK情報ネットワークを選定し、制作に着手した。
契 約 期 間 契約金額(円)
10.3.24〜12.3.10 83,989,500

6 管理運営財団法人の設立準備

(1) 本施設の管理運営にあたって

1) 管理委託の必要性

 本施設の管理運営にあたっては、海洋生物の収集、飼

育、展示及び調査研究事業を中心とした事業展開を行う

ことから、弾力的で、地域性豊かな管理運営を行なうと

ともに、専門的な知識と技術を常時高水準でしかも先導

的に保つことが重要となることから、より効率的・合理

的な管理運営が可能な組織への委託管理が必要である。

2) 施設の管理運営方式

 地方自治法第244条の2第3項の規定に基づく公の施

設の管理委託とし、具体的には、県が指定する法人(以

下「管理運営主体」という。)に委託して行う。

3) 管理運営主体の性格

 管理運営を委託する法人については、地方自治法上の


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