教育年報1997年(H9)-143/258page

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第11章 スポーツ・健康

第1節 概要

 平成10年2月、今世紀最後の開催となった冬季五輪

「長野オリンピック」は、世界のトップアスリートが繰り広げる極

限の競技の展開に、更には日本選手の活躍に国中が沸き上が

り、多くの国民に大きな感動を残し成功のうちに終了した。

 この成果は明るく新鮮な話題として国民に供され、勇気や

活力を与えてくれたことはもとより、長く低迷を続けている

我が国スポーツ界に、久方ぶりに明るい展望を拓いてくれる

ものであった。

 また、引き続き開催された長野パラリンピックは、私たち

の心に新たな感動を呼び起こし、併せて人間の持つ強さとス

ポーツの可能性を示唆してくれた。

 このように、スポーツは、人間の能力と技術の限界に挑む

競技スポーツから、それぞれの体力や目的に合わせて行う生

涯スポーツまで、その目的や実施方法、スタイルは様々であ

り、さらには、ボランティアとしてスポーツを支える活動や

プロスポーツをみて楽しむことなどを含めると、その形態は、

実に多様化したものとなってきている。また、障害のある人

も障害のない人と同様に、その活動は、スポーツに親しんだ

り、競技力や記録の向上を目指すものなど多様なものとなっ

ている。21世紀を目前にした今日、今後とも社会の変化が更

に進展することが予想される中、スポーツは心身ともに健康

な生活を営む上で不可欠なものとして、ますますその重要性

が高まるものと考えられる。

 スポーツと健康教育を所管する本課としては、スポーツの

基礎・基本を培う学校体育の充実をはじめ、競技水準の向上

を目的とする競技スポーツや体力・年齢に応じてスポーツに

親しむ生涯スポーツの振興、更には施設・設備の充実を図る

など、幅広い取組みを通してスポーツの普及・振興に努めて

いる。

 また、健康教育の推進については、児童生徒が生涯にわた

り心身の健康の保持増進に必要な知識、能力、態度及び習慣

を身に付けることを通じ、たくましく生きる意志と意欲、価

値観を形成するなど「生きる力」をはぐくむため、保健や安

全、学校給食の各分野において指導の充実を図っている。

 近年の急激な社会環境の変化に伴い、児童生徒の健康にも

様々な問題が発生しているが、特に、体力・運動能力の低下

が指摘される一方、O157等の対策やエイズ教育の充実、生

活習慣病の予防や薬物乱用防止の指導、そして、「こころの

教育」等が大きな課題となっている。

 今、社会の変化という大きなうねりの中で、教育の在り方

そのものについて新たな対応が求められており、スポーツ健

康課としては、これらの課題に適切に対応するため、様々な

事業を通して、その解決に努める考えである。

1 学校体育の充実

 学校における体育・スポーツ活動の充実を図るため、体育

担当者及び運動部活動担当者を対象に各種体育実技指導講習

会をはじめ、豊富な経験をもつ民間の優れた指導者を学校に

派遣する指導協力者派遣事業等を通して指導者の資質の向上

と児童生徒の体力及び技能の向上に努めた。

 また、文部省指定の「体力つくり推進校」、「武道指導推進

校」、「運動部活動研究推進校」、「選択制授業研究指定校」の

各種研究校における実践研究や公開発表を契機として、体力

の向上のための手だてや生涯スポーツの基盤づくりを目指し

た学習指導の在り方など今日的な課題の解決法について広く

普及に努めた。

 さらに、本県児童生徒の体力・運動能力の実態を把握する

ためスポーツテストを実施し、その結果を分析し活用を図る

とともに、体力つくりに積極的に取り組んでいる学校を紹介

するなど各学校の実態に応じた体力つくりの推進に努めた。

 また、小学校運動競技奨励事業や運動部活動外部指導者活

用事業を実施し、運動に親しむ児童生徒の育成を図るととも

に、体力・運動能力の向上と運動部活動の活性化に努めた。

2 学校保健・学校安全の充実

 学校における保健安全の充実を図るため、学校保健関係者

(保健主事、養護教諭等)を対象に「保健教育・安全教育指

導者研修会」を、管理職を対象に「エイズ教育指導者研修会」

をそれぞれ県内2箇所で開催した。養護教諭に対しては新採

用者に対する研修会をはじめ、経験者研修1・2・3、保健

室相談活動研修会を開催するなど、これらの資質の向上に努

めた。

 また、文部省の補助事業として平成7年度から平成10年度

にかけて、「応急処置研修会」を公立中学校の保健体育担当

教員全員に実施することとし、本年度は相双・いわき管内を

対象として実施した。

 保健管理面では、児童生徒及び教職員の健康診断を実施し、

疾病・異常の早期発見に努めた。

 指定校関係では、「エイズ教育(性教育)地域指定推進事

業」(文部省指定、平成8年度〜平成10年度)を棚倉町教育

委員会が指定を受け、県立東白川農商高等学校を含め研究計

画の立案やエイズ教育に関する情報の交換に努めた。

 また、「むし歯予防研究推進校」(文部省指定、平成7年度

〜平成8年度)の田島町立荒海小学校が最終年度となり研究

成果の発表を行うとともに、「健康つくり推進校」(県教育委

員会指定、平成7年度〜平成9年度)のいわき市立好間第二小学校

が中間報告を行うなど、それぞれ研究発表会や研究報

告書を作成し、研究成果の普及に努めた。

 次に、安全教育・安全管理の徹底を図るため、学校安全関

係職員を対象に「交通安全教育指導者研修会」を県内2箇所

において開催し、その資質の向上に努めた。

 また、日本体育・学校健康センターによる「学校安全研究


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