教育年報1998年(H10)-139/270page
第1節 福島県文化財センター
白河館(仮称)整備事業
【施設整備の概要】
(1) 施設整備の目的
文化財の調査、管理、活用、研修等のための専用施設の
整備を図る。
このうち白河館(仮称・以下同じ)について、収蔵・保
管、研修、教育普及・展示、野外体験等の機能を持った施
設を平成13年夏の開館を目処に行うものである。
また、調査・研究等の機能を持った安達館(仮称・以下
同じ)の施設整備をも計画している。
(2) 基本理念
以下の4つを基本理念としている。
1) 開発に伴う発掘調査を円滑に進めるために、発掘調査
体制を充実するとともに、埋蔵文化財の保存、管理、活
用の拠点として整備する。
2) 発掘調査等の専門職員が不足している市町村に対する
支援を拡充するため、市町村職員の研修を行い専門職員
を養成するとともに、県内の文化財情報の収集・発信の
拠点として整備する。
3) 調査資料等の屋内外の展示など、文化財の展示・公開
を進めるとともに、学校教育や生涯学習との連携をもと
に文化財愛護・普及活動を行うことのできる施設として
整備する。
4) 無形の文化財等の調査・記録作成を進め、資料を保管
するとともに、資料の活用を行うことのできる施設とし
て整備する。
これらの機能を有効に機能させ文化財保護の充実を図る
ため、二つの施設として整備する。
(3) 基本的機能
文化財センター整備の基本理念に添って、本施設は、1)
調査・研究機能、2)収蔵・保管機能、3)研修機能、4)教育
普及・展示機能、5)野外体験機能、6)管理機能、7)その他
の機能を有することとし、これらの機能を分担して2)〜5)
等は白河館、1)等は安達館とする。
(4) 整備事業の経緯
平成6年度、福島県文化財保護審議会専門委員会におい
て、文化財センターの必要性とその有すべき基本的機能、
施設・設備及びその規模等について検討を重ね、福島県文
化財センターは7つの機能(調査・研究、収蔵・保管、研
修、教育普及・展示、野外体験、管理、その他)を有すべ
きという、同委員会からの基本構想報告書を受理した。
平成7年度、建設適地についての検討をし、中通り地方
で選定を進めた結果、文化財センターは機能を分離し白河
市と安達町に建設することと決定した。
平成8年度、白河館の基本計画を策定し、敷地面積51,0
00m2程度・建物面積5,400m2程度とし、建設予定地を白河
市白坂字一里段地内とした。
平成9年度、設計の発注にあたってプロポーザル競技を
採用し、白河館の建築基本設計を実施した。
平成10年度は、白河館の用地買収・建築実施設計・展示
設計を実施し、用地造成工事に着手した。
なお、開館時期は平成13年度の予定である。
(5) 建築実施設計
白河館の建築実施設計については建築基本設計を受けて
実施し、建設予定地が豊かな自然に囲まれていることから、
敷地全体を「フィールド・ミュージアム」としてとらえ、
建物と大地を含めた一体の景観に配慮した。
そのため、敷地の形状を極力変えず既存の樹木を残し、
全体として自然に溶け込んだ施設とした。
本館棟においては、展示機能と有機的に結びついた空間
である「プロムナードギャラリー」を中心として、一般展
示室・特別展示室・体験活動室・講堂などの諸室が周りを
取り囲む平面構成とした。
施設全体の中心となるこの開かれた空間の創出によって、
来館者に「プロムナードギャラリー」を中心とした自由度
の高いスムーズな動線を提供し、各室間のみならず外部環
境をもオープンに結び付けることを可能とした。
(6) 展示実施設計
白河館の展示実施設計については展示基本設計を受けて
実施し、埋蔵文化財を中心として地域に芽生えた文化の歴
史的過程を踏まえ、現代と文化財の関係を見つめることに
より個性豊かな地域の歴史・文化を総合的に理解し、地域
への誇りと愛着を醸成するものとし、展示の種別は常設展
示・企画展示・野外展示の3種類とした。
常設展示は、常設展示室で行う恒常的な展示で、文化財
をわかり易い形で体系的に公開し県民の文化財に対する関
心と理解を高め、文化財保護の充実を図ることを目的とし
た。
企画展示は、原則的に企画展示室において期間を定めた
展示で、文化財の調査速報展、話題性及び学術性の高いテー
マに関する展示等を行い新しい情報を具体的な形で提供す
るものとした。
野外展示は、代表的な遺構について移設・復元を行い、