教育年報1998年（H10）-206/270page

面の各能力が総合した形で構成されている学力の向上に向け

て、授業改善に取り組んだ。

　「授業改善を図る実践研究(1)」では小学校国語・算数、

中学校の英語について、平成9年度学力到達度調査研究で示

した指導例を基に指導の在け方を検討し、授業改善に向けた

実践研究を行った。それぞれの教科・領域で指導の効果が検

証され、成果があった。

　「授業改善を図る実践研究(2)」では小学校の生活・体

育、高等学校の保健体育、芸術(音楽1)の各教科において

学力の向上を図るために、多様な視点から、教科の特性を踏

まえて研究を進めた。児童生徒が「自ら考え、自ら行動する」

授業への改善がみられた。

　次年度は、さらに効果的な指導法を工夫し、学力向上のた

めの授業改善に向けた実践的な研究を行いたい。

3　基礎学力向上のための授業改善

に関する実践的研究

一思考活動を活発にする観察・実験、実習の工夫・改善一

科学技術教育部

(1)　研究の趣旨

　昨年度の部の研究成果から、児童生徒の思考活動を活発

にすることは基礎学力の獲得に有効であることがわかった。

　理科と技術・家庭では、観察・実験、実習が重視されて

いる。そこで、本年度は、思考活動を活発にするための観

察・実験、実習の工夫・改善を行い、知識・理解、技能を

確かなものとすることをねらいとして実践的研究を行った。

(2)　研究の概要

1）　観察・実験、実習の工夫・改善

　児童生徒の思考活動を活発にするために、次の1〜6

の実践で観察・実験、実習の工夫・改善を行った。

実践	対象校・教科	思考活動を活発にする観察・実験、実習の工夫・改善
1	小学校理科	日常生活と関わりのある素材を教材化し たものづくり活動の導入
2	中学校理科	自作教材を活用した課題選択学習の導入
3	中学校 技術・家庭	操作技能を獲得する過程をスモールステッ プ化した実習装置の開発と活用
4	高校物理IB	概念のイメージ化を図る観察・実験の工夫
5	高校地学IB	疑似体験を取り入れた観察・実験の工夫
6	高校化学IB	結果の予想やまとめの過程を重視したワー クシートの工夫

2）　思考活動と基礎学力

　「思考活動の程度」については、事前と事象の児童生

徒の自己評価で調べた。科学的な思考ができたかどうか

については、学習した事象や事象間の関係の理解の程度

を問うテストの結果から判断した。これらの調査等を行っ

て、思考活動を活発にするための観察・実験、実習の工

夫・改善が、知識・理解、技能の獲得にどのような効果

があるかを調べた。

(3)　成果

　次の観点から観察・実験、実習を工夫・改善することは、

思考活動を活発にし、確かな知識・理解、技能の獲得に有

効であることがわかった。

1）　観察・実験、実習の教材・教具の工夫・活用

○児童生徒にとって身近な素材を用いた教材

○操作が簡便で直観的にわかる教材

○製作活動を通して課題意識を高め、発展させる教材

○事象理解の段階を踏まえてスモールステップ化した教

材

○直接観察が難しい事象を疑似体験できる教具

2）　観察・実験、実習の展開の工夫・改善

○多様な生徒に対応した「実験群」「実習群」の導入

○事象や事象間の関係把握を支援するワークシートの活

用

○児童生徒が観察・実験、実習を自ら選択できる場の設

定

○観察・実験、実習の機能を高める形成的評価とフィー

ドバック

4　情報ネットワークの教育的活用

に関する研究

情報教育部

(1)　研究の趣旨

　社会の情報通信化が進み、情報機器のネットワークを考

えずに情報教育を語ることはできなくなっている。

　また、教育センターとして教育情報の有効な活用を進め

るためには、各学校や教育関係機関とのネットワーク化を

図り、各学校のインターネット接続のための支援や情報の

共有・提供サービスを行って行くことが緊要な課題となっ

ている。

　このような課題を解決するために、各学校の教育活動や

教職員の研究、研修等への支援をしたり、教育関係機関と

の連携を図ったりしながら、教育ネットワーク構築や教育

用データベースを構築するための研究を行うこととした。

(2)　研究の概要

1）　Internet／Intranetの教育的活用についての研究

・ネットワークを利用したデータ集計システムの開発

・ネットワークを利用した教師を支援するデータベース

の構築

2）　授業の中で手軽に利用できる教育用ソフトウェアの開

発

・理科におけるデータ変更・追加型教材の開発

・県内市町村についてのデータベース型ソフトウェアの

開発

・小学校算数科におけるデータベース型ソフトウェアの

開発

・データを追加・変更できる英会話シュミレーションソ

フトの開発

(3)　研究の成果成果

　Internet/Intranetの教育的活用についての研究で

は、ネットワークを利用して収集した情報を、集計して新