平成12年度教育年報 -001/272page

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第1章 教育行政の概観

 平成12年度は、「教育改革国民会議」の最終報告〜教育を変える17の提案〜が12月に出され、その提言を受けて文部科学省が、教育改革の今後の取組みの全体像を示し、「学校がよくなる、教育が変わる」ための具体的な主要施策や具体的なタイムスケジュールを明らかにした「21世紀教育新生ブラン〜レインボープラン〜」を発表するなど、国中が教育改革を議論し、新世紀に向けた準備をした年であった。
 県教育委員会は、これら国の文教施策を視野に入れつつ、教育改革は全国一律に行われるべきものではなく、地方分権の趣旨を踏まえながら、それぞれの地方の視点で進められるべきものとの認識に立ち、本県にとって必要な改革を、独自の手法を工夫しながら主体的に進めるため、第4次教育長計の検証と課題の洗い出しを行い、「ふくしまの教育を考える県民会議」等により広く県民の声を聴取し、有識者による懇談会の意見を取り入れながら、新しい長期総合教育計画の策定作業を進め、平成13年3月に「第5次福島県長期総合教育計画〜新世紀ふくしまの学び・2010〜」を策定するとともに、県民の期待に応え得る教育行政の推進に努めた。この間、平成12年10月19日付けで、福島県教育委員会委員長には樽川満氏が互選され、委員長職務代魂者には里見庫男委員が選任された。
 県教育行政において特記すべき事項としては、次の点を挙げることができる。
 第一は、上述した「第5次福島県長期総合教育計画〜新世紀ふくしまの学び・2010〜」を策定し、福島県の「教育新生元年」を迎えたこと。本計画は、平成13年度を初年度とし平成22年度を目標年度とする今後10年間の本県教育の指針となるものであり、以下、概要を計画から抜粋して示す。

<基本理念>
1.「共生」
 子どもの「孤立化」が指摘される中、学校や地域において、仲間と切磋琢磨しながら学ぶとともに、思いやりの心や感動する心、自律心や協調性を身に付けるという意味で「共に生きる」という考え方が重要となっています。また、学校教育と家庭教育、学校教育と地域の教育など、それぞれの役割を担う教育力が「共に生きる」という考え方が必要となっています。
 福島県は、この「共生」という理念を大切にし、県民総参加型教育による子どもの育成を図るとともに、県全体を一つの学習空間として、県民の学びの環境づくりを目指します。さらに、県民が学んだ知識、技術、文化が高齢者層と若年者層の世代間や各分野の学習施設間を空閻的・時間的に循環し、高められた知識などを共有できる「学びがめぐる学習空間・ふくしま」を目指します。

2.「自立」
 変化の激しい社会にあって、いかなる場面でも他人と協調しつつ自律的に社会生活を送るためには、自立することが必要です。共生は、自己の責任において行動し、自らの責任で生きるという自立があってのものと言えます。人の自立には、自らが積極的に自立性の向上を図る学びが必要であり、その際、より深い知識、より有用な技術、より豊かな文化を探求することが重要です。
 福島県は、この「自立」という理念や、自立するための学びの姿勢を大切にし、子どもが学ぶことの厳しさから逃れることなく、自ら学び考えることができるとともに、県民が「よく生きる」ことを生涯にわたって自覚的に探求できる環境づくりを目指します。その際、特に、進学や就職を通じて、将来における自己実現め可能性を高めることができるように、子どもの学力を大切にします。


<基本目標>
 基本目標は、「共生と自立」という基本理念に基づき、次のように設定します。

人・地域・自然と共に個を磨く新世紀ふくしまの教育

<視点>
 第5次福島県長期総合教育計画においては、次の4つの視点を設定し、「人・地域・自然と共に個を磨く新世紀ふくしまの教育」の実現を目指します。
 I 「人と共に」 −人との共生の視点
 II 「地域・自然と共に」 −家庭、地域社会、学校の体化と豊かな自然との触れ合いの視点
 III「新世紀と共に」 −社会変化への柔軟な対応の視点
 IV 「学びの環境づくり」 −生涯学習社会の実現に向けた基盤整備の視点

 第二に、第5次福島県長期総合教育計画の基本目標実現に向けて、変化の激しい時代に即応する具体的施策の検討の一環として、9月、県教育委員会の附属機関である福島県学校教育審議会に「社会の変化に対応した本県教育の在り方について」諮問したこと(平成13年秋答申の予定)。
 諮問事項は下記の3項目
 1 21世紀を担う本県の児童生徒の育成について
    −学校・家庭・地域社会はどのようにあるべきか−
 2 県立高等学校入学者選抜について
 3 本県における中高一貫教育を進めるにあたって配慮すべきことがらと実施形態、及びその配置について

 第三に、生涯学習関連施設の整備について、水族館を中核に海洋博物館の機能を併せ持つ、新しいタイプの海洋科学館「アクアマリンふくしま」が7月15日にオープン、多様な学習二ーズに対応できる事業を展開したこと。
 以上のほか、教育行政の主要な動きは次のとおりである。


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