平成12年度教育年報 -260/272page
(2) 施設の概要
1. 構 造 鉄筋コンクリート造,一部鉄骨造 地上2階建て
2. 建築面積 779.85m 2
3. 延床面積 966.37m 2
4. 各階配置
・ 1階 予備飼育室,貯水槽,排水槽,倉庫兼流量計室,便所
・ 2階 展示水槽置場,温室,展示通路
5. 特 色
ア 周辺の景観に配慮し,屋根及び2階部分壁面に植栽を施す。
イ 外構については,本館外構と一体性(連続性)を持たせるものとする。これにより,建物1階部分は,外構マウンドに隠れることとなる。
ウ 屋内については,2階に観覧通路を設け,アクアマリンパーク来訪者に,水族館の裏舞台を紹介できるようにしている。(3) 工事の概要
工 種
契約期間
契約金額(円) 契 約 先
建築工事 12.9.28〜13.5.18
275,763,600
福浜工業株式会社
電気工事 12.10.20〜13.5.18
67,406,850
植田電機株式会社
機械工事
12.10.20〜13.5.18 30,433,200
北関東空調工業株式会社 合 計
373,603,650
第2節 各 種 事 業
1 展 示 事 業
(1) 常 設 展 示
展示のメインテーマを「潮目の海〜黒潮と親潮のであい〜」とする。
「福島の海」において,最も特徴的な事象である黒潮と親潮のであいの境界「潮目」をテーマとして取り上げ,潮目の海の豊かな生物相を中心とした自然,潮目の科学,人と海とのかかわり合い,そして地球環境問題まで幅広い分野を紹介する。
(2) 企 画 展 示
施設の研究成果や話題性のある特別のテーマ等を設定した展示を構成し,総合的な解説を実施する。
○ 田中光常写真展〜海獣との出会い〜(7月15日〜8月31日)
○ モントレー湾水族館友好館締結記念展(11月1日〜12月4日)
○ いわきの黒松展〜海の男たちの盆栽〜(11月1日〜6日)
○ 第1回キッズ絵画展(3月14日〜4月8日) ※応募総数3,008点
(3) 飼育困難生物の調査棚究
1. 概 要
本施設では,21世紀に向けて特色ある施設づくりを目指す一環として,今まで飼育が困難とされていた海洋生物の飼育実験を行い,その研究成果を展示に活かしている。そのため,以下の調査・研究を行った。
・飼育困難生物(水族館では飼育展示が困難とされている生物)の展示を可能にするための飼育研究
・福島県下に生息している生物の調査及び収集ルート等の開発
2. サンマの飼育実験
ア 実験の概要
サンマの寿命は約1年であり,周年展示を行うには卵〜稚仔魚の期間の展示端境期をどのように乗り切るかという問題がある。サンマは日本近海では秋から春にかけて産卵している。サンマの繁殖期が長いことを利用して,稚魚あるいは卵を各地で採集し,育成後展示することが問題解決の一つの方法である。
また,自然界からの展示生物補給では,確実に入手できるとは限らないことから,併行して飼育下で繁殖させ自己生産を行う研究が重要となる。このような課題に対応した調査・研究を行った。
イ 実験項目
・ サンマ卵の採集,輸送,管理に関する実験
・ 稚仔魚の育成に関する実験
・ 水槽内産卵に関する実験
・ 飼育下で得られたサンマ稚仔魚の育成実験
・ 水槽内展示技術の開発,確立に係る実験
ウ 実験成果
・ 世界初のサンマの累代飼育を継続
・ 産卵,孵化させ育成した成魚の飼育日数が485日を超えた。
このように,外洋性の魚類(サンマ)を,長期飼育し,完全飼育下で産卵・孵化させ成魚まで育成するなど,飼育技術上,大きな成果を上げることができた。
3. その他の生物の飼育実験
ア 希少生物等の収集及び飼育
タガメ,アサザ,アカザ,ヌエハゼ,シナイモツゴ等の発見,収集及び飼育を継続実施。
イ 水槽内繁殖
県の天然記念物に指定されているイトヨをはじめ,ゴクラクハゼ,シリヤケイカ,ミズクラゲ,ウメボシイソギンチャク,カクレクマノミ等が,水槽内にて繁殖。
2 学習支援事業
ふくしま海洋科学館では,『学習支援の基本的な考え方(指針)』(平成11年3月教育委員会策定)に基づき,下記のとおり実施している。
(1) 展示物を介した学習機会の提供
1. ワークショップ(実演解説);テーマを設定し,実験やビデオなどを利用しながらの解説を実施している。
・ガレリアワークショップ 7〜9月『縄文人は美食家だった?』
10〜12月『秋のサンマよ,立ち止まるな!』
1〜3月『おいしいタシって,とんなダシ?』