レッドデータブックふくしまT 植物・昆虫類・鳥類 -061/451page
絶滅危惧T類 トウダイグサ科
マルミノウルシ Euphorbia ebracteolata Hayata 全国カテゴリー;絶滅危惧TB類【選定根拠】福島県ではこれまで2カ所しか産地が知られていない。全国的にも生育地がやや少ない。
【形態】多年草。春植物で夏までに地上部が枯れる。茎は栄養枝を分枝せず、長さ20〜65p、無毛または少し長毛がある。茎葉は20〜35で全縁、狭楕円形、披針形、または倒披針形で長さ6.8〜13p。輪生葉は5枚、披針形で長さ3.5〜8p。苞葉は対生で3角形。葉はしばしば赤みを帯びる。さく果は平滑、無毛またはまばらに長毛がある。ノウルシはさく果に円錐形のいぼ状突起がある。
【分布】中国(中部)、朝鮮、日本。日本では北海道、東北(青森、岩手、宮城、福島)、関東、中部、近畿の山地や丘陵地のやや湿った林床または林縁に生える。
【県内の分布、生育状況】これまで中通りの西白河郡と白河市の境界、および川俣町の2カ所しか知られていない。今回の調査では前者は不明、後者は比較的多くの個体が見られた。
【生育に影響を与えている要因】産地局限、里山開発
【特記事項】現存する個体群の生育環境を良好に維持することが望ましい。地下茎で増殖し、栽培が容易である。
絶滅危惧T類 トウダイグサ科
センダイタイゲキ Euphorbia esendaica Makino 全国カテゴリー;絶滅危惧TB類【選定根拠】県内での生育地が少なく、多くが現状不明である。全国でも二十数カ所の生育地が知られるのみで、その多くが絶滅あるいは現状不明である。
【形態】夏緑性の多年草。地下茎は細長く伸びる。地上茎は長さ30〜60pで、上部で大きな葉をつける栄養枝を分枝し、無毛。葉は互生する茎葉、茎の先にある輪生葉、花序にある苞葉の別があり、葉身は無毛で全縁、しばしば赤みを帯びる。茎葉は10〜15枚、狭楕円形または披針形で長さ3〜6p。輪生葉はふつう5枚、狭楕円形または
披針形で長さ2.1〜3.4p。苞葉は対生で半円形。杯状花序の腺体は三日月形で両端の突起は短い。さく果は平滑、無毛。県内に多いナツトウダイは苞葉は3角形で腺体の両端の突起が長く角状。
【分布】日本固有で東北(岩手、宮城、福島)、関東の林床や林縁に生える。
【県内の分布、生育状況】これまでに中通り南部の表郷村、矢吹町、白河市で生育が確認されている。会津から報告があるが、確認していない(黒沢・大橋2000)。今回の調査で再確認できたのは矢吹町の丘陵地の落葉樹が混ざったスギの林内の一カ所だけであった。
【生育に影響を与えている要因】里山の開発
【特記事項】現存する個体群の生育環境を良好に維持することが望ましい。地下茎で増殖し、栽培が容易である。
【主要文献】
黒沢高秀・大橋広好.2000.「絶滅危惧TA類ムサシタイゲキ」はセンダイタイゲキと区別で
きない−センダイタイゲキの分類と分布の再検討−.植物研究雑誌75:104-110.