レッドデータブックふくしまT 植物・昆虫類・鳥類 -078/451page
絶滅危惧T類 カヤツリグサ科
イセウキヤガラ Scirpus iseensis T. Koyama et T. Shimzu 全国カテゴリー;絶滅危惧TB類【選定根拠】@全ての個体群で個体数が減少A全ての生育地で生育条件が悪化
【形態】抽水性の水生植物。草高30〜70p。葉は線形で長さ20〜50p、横断面は三角形。稈の頂端に長さ1〜2pの小穂をつけるが、苞が直立するので偽側生となる。小穂は長楕円形で多くはただ1個、時に2〜5個となる。エゾウキヤガラ(コウキヤガラ)に似ているが、エゾウキヤガラの葉は偏平で、苞は斜上し、小穂には通常柄がある点でも区別される。多年草。
【分布】北海道・本州・四国・九州、樺太・中国に分布する。
【県内の分布、生育状況】河口付近の岸に生育している。本県ではいわき市でしか確認されていない。近年、個体 数が著しく減少している。
【生育に影響を与えている要因】産地局限、水質汚濁、海岸開発、河川開発
【特記事項】汚水や農薬などの流入を防ぎ、浅瀬や湿地を残して生育環境を保全することが望ましい。また、潮の干満の影響を受けるよう生育地の一部を海に開いておくことも重要である。
【主要文献】
薄葉満.1986.イセウキヤガラをいわき市に記録する.東北植物研究3:18.
絶滅危惧T類 カヤツリグサ科
ビャッコイ Scirpuscrassiusculus Benth. 全国カテゴリー;絶滅危惧TB類【選定根拠】日本では、本県表郷村にのみ生育し、生育地は天然記念物として保護されてはいるが、生育地周辺の市街地化に伴い、将来清冽なわき水が確保できなくなる事態が予想される。
【形態】抽水性の水生植物。草長20〜40pで斜上する。葉は線形で長さ5〜10p、茎の頂端に長さ5〜7oの長楕円形の小穂をつける。小穂はただ1個で、淡緑色をしている点でホタルイ属の他の種と明らかに異なる。多年草。
【分布】本州(福島県のみ)、インドネシア、オーストラリアに分布する。
【県内の分布、生育状況】清冽なわき水をたたえた砂泥質の沼地に生育している。表郷村が日本で唯一の生育地である。
【生育に影響を与えている要因】産地局限、土地造成、道路工事、湧き水の減少、水質汚濁
【特記事項】生息地周辺の開発や道路等の布設にあたっては地下水脈に影響がないかどうか、また、土砂や汚水の流入を招かないかどうか十分な事前調査が望まれる。
【主要文献】
小林勝.1955.ビャッコイの産地について.福島大学学芸学部理科報告4:19-24.