レッドデータブックふくしまT 植物・昆虫類・鳥類 -326/451page

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ろ2,500種に満たない程度である。しかし、福島県で調査の比較的進んでいる分類群(エンマムシ科やタマムシ科、オオキノコムシ科、ナガクチキムシ科、カミキリムシ科)をみると、その種類数は全国でも上位にある。これらのことから、福島県でも調査がすすめば、確実に4,000種を超えるものと思われる。

こうした状況の中で、分布の判明している種について、県内全体を勘案し特徴的なことを論じたい。まず福島県が分布の北限となっている種であるが、平地に生息するヒトツメアオゴミムシやタケトラカミキリが浜通りで記録されており、草原性のものではアサカミキリが古くから分布が知られている。森林性の種では、アオタマムシ、アオマダラタマムシ、ツツヒラタムシ、ネアカツツナガクチキ、クロサワヒメコバネカミキリ、ミツギリゾウムシなど、数多くのものがあげられる。また南限となっているものは、吾妻連峰と飯豊連峰の高所地域に生息するチョウカイヒメクロオサムシが唯一知られている。

次に生息環境別であるが、湿地にはアカガネオサムシやマークオサムシ、オオハンミョウモドキ、ハガクビナガゴミムシ、キイロジョウカイ、クロガネネクイハムシ、オオルリハムシなどが分布している。海浜性の種ではカワラハンミョウ、ウミミズギワゴミムシ、オオキバナガミズギワゴミムシ、ニセマグソコガネなどが浜通りで確認されている。河川・湖沼などの水環境に生息するものでは、南会津地方の河川上流域でカノシマチビゲンゴロウが、またテラニシセスジゲンゴロウが県南地方の池から確認されている。関東以西でほとんど見られなくなっているゲンゴロウは、今でも県内各地の池沼にその姿を確認することができる。草原性のものでは、前述したアサカミキリのほかに、ホソツツタマムシやタグチホソヒラタハムシの記録があるが、ホソツツタマムシは最近の確認情報がない。森林性の種は北限となっているもの以外にも、アオカタビロオサムシやオオクワガタ、オオチャイロハナムグリ、ウスモンホソオオキノコムシなどが、少なくなりつつある自然度の高い森林に生息している。

最後に福島県を中心とした一部地域にしか分布しない固有種についてふれる。地下浅層や鍾乳洞などに生息しているものとして、ナガチビゴミムシ属Trechiama の10種、クラサワメクラチビゴミムシ属Kurasawatrechus の2種が分布しており、今後も新種が発見される可能性が高い。ナガチビゴミムシ属のスリカミメクラチビゴミムシは、摺上川の南岸から見つかっているが、生息域の多くがダム建設で狭められてしまうため、種の存続が危ぶまれている。2001年に摺上川の北岸から、近似の別種モニワメクラチビゴミムシが発見されたことは、生物地理学上からも注目される。このほかに、浜通りからアブクマナガゴミムシやアブクマチビシデムシが、尾瀬からオゼタデハムシなどが知られている。

以上のことをふまえ、本県レッドリストとしてコウチュウ目からは絶滅危惧種T類1種、絶滅危惧種U類3種、準絶滅危惧15種、希少33種、注意2種、未評価6種を選定した。

 4)チョウ目

福島県における蝶類の記録数は、蜂谷・田添(1974)によれば125種、角田(1982)によれば130種と増加し、さらに今回のレッドデータブック作成時の選定用リストでは134種(偶産種を含む)に増加した。

福島県の蝶類の特徴を地域別にみると次のようになる。海岸線(太平洋沿岸):この地域は、温暖であるため、南方系の蝶の進出が目立ち、北限更新が続


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