レッドデータブックふくしまT 植物・昆虫類・鳥類 -337/451page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

絶滅危惧U類 チョウ目 シジミチョウ科

キマダラルリツバメ
Spindasis takanonis septentrionalis Hayashi
全国カテゴリー;準絶滅危惧

【選定根拠】@大部分の個体群で個体数が減少A大部分の生息地で生息条件が悪化
【形態】本種には4亜種が知られ、福島県産は東北亜種に属するが、岩手県産とは異なり雄翅表に青藍色を欠く個体も発生する。雌の翅表には青藍色は全く発現しないので雌雄の同定を誤り易いが、裏面斑紋の形状で容易に区別できる。日本産シジミチョウ類で尾状突起2本を有するのは本種のみ。幼虫はハリブトシリアゲアリの巣中でアリに育てられ年1回6月の梅雨期に発生し、降雨の時は雨がやんだ時、ヒメジオンなどの白系統の花で吸蜜する。晴れの日は日中あまり姿を現さず、夕刻前活発に活動する。
【分布】国内では本州に局地的に分布。東北では岩手県にも産地がある。国外では東南アジアに多く産地がある。
【県内の分布、生息状況】県内では会津の特産種。特に只見川中流域に多くの産地がある。ハリブトシリアゲアリは桐に多産するので、河岸段丘に開けた畑地帯の桐林に生息する。
【生息に影響を与えている要因】道路拡幅等道路工事桐の伐採
【特記事項】アリの営巣木を適切に保全するのが望ましい。
【主要文献】
有賀俊司(2000)会津高田町のキマダラルリツバメについて(その分布と出現期).るりぼし,(24):7-10.
伊藤良作ら(1969)博士山の蝶.茨城大学生物研究会,1-10.
伊藤良作(1970)福島県にてキマダラルリツバメを採集.昆虫と自然,5(9):32.
角田伊一(1986)福島のキマダラルリツバメ.昆虫と自然,21(5):6-10.
角田伊一(1978)奥会津のキマダラルリツバメ.らふぁえりす,(4):113-117.
藤岡知夫(1992)日本の秘蝶(2)稀貴産地のキマダラルリツバメ.Butterflies,(3):3-13.
郡司正文(1999)福島県産キマダラルリツバメについて.ふくしまの虫,(18):30-31.
鈴木智史(1999)キマダラルリツバメのシマウマ型について.ふくしまの虫,(18):32.

キマダラルリツバメ


絶滅危惧U類 チョウ目 シジミチョウ科

クロシジミ

Niphanda fusca Bremer et Grey

全国カテゴリー;絶滅危惧T類

【選定根拠】@大部分の個体群で個体数が減少A大部分の生息地で生息条件が悪化
【形態】翅裏の地色は白色に近いものから、暗灰色に近いものもある。雄の翅表は紫色に光るが、雌ではこれを欠く。
【分布】国内では、本州、四国、九州に分布するが、いずれの地でも分布は局限されている。国外では、中国大陸、モンゴル、朝鮮半島に分布する。
【県内の分布、生息状況】県内では、阿武隈山地、奥羽山脈、会津地方、飯豊山地等に広く記録があるが、現在も確実に観察できる地域はない。生息環境はカシワ、クヌギなどの疎林である。そして幼虫は、これらの木の芽につくアリマキの分泌液をなめて育ち、3齢になるとクロオオアリの巣に運ばれ、アリから餌をもらって育ち蛹化、翌夏羽化する。
【生息に影響を与えている要因】管理放棄
【特記事項】発生地においては、林の管理をし、疎林状態を維持することが重要である。
【主要文献】
伊藤良作ら(1969)博士山の蝶.茨城大学生物研究会,1-10.
斎藤修司(2000)山都町で採集したクロシジミの記録.ふくしまの虫,(19):45-46.
田添京二(1999)備忘、福島県の蝶.ふくしまの虫,(18):36.
蜂谷剛(1958)福島県の蝶類採集追記.福島生物,(1):37-38.
松崎有光(1981)福島県いわき市産蝶類最近の知見.ちょうちょう,4(5):43-53.
矢吹繁美・角田三枝子(1976)石川に生息する蝶類について.こつばめ,(3):23-27.

クロシジミ


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県生活環境部環境政策室自然保護グループに帰属します。
福島県生活環境部環境政策室自然保護グループの許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。