レッドデータブックふくしまT 植物・昆虫類・鳥類 -340/451page
絶滅危惧U類 チョウ目 タテハチョウ科
フタスジチョウ Neptis rivularis tadamiensis Higuma 【選定根拠】A大部分の生息地で生息条件が悪化
【形態】翅表に2列の白帯があることでミスジチョウ(白帯3列)と容易に区別できる。北海道に分布しているものは、白帯の幅が広く、本州に分布するものは狭くなる。そのなかでも本県産のものはさらに狭くなり、全体に黒化傾向が強い。
【分布】国内では、北海道、本州(東北北部と本県から関東、中部地方)に分布。国外では、ヨーロッパからシベリア、中国、朝鮮半島まで広く分布。
【県内の分布、生息状況】現在のところ、舘岩村と檜枝岐村に限られる。県内ではイワシモツケ、アイヅシモツケ、ホザキシモツケから幼虫が見つかっている。
【生息に影響を与えている要因】発生地が、豪雪地帯の岩地に多く、山崩れやダム建設による影響を受けやすい。
【特記事項】発生地は局限されているが、舘岩村ではさらに局限され風穴や人家の周辺での発生もあるため、食草を含む生息環境の保護が望ましい。
【主要文献】
福田晴男・美ノ谷憲久(1986)見つけた!まぼろしのチョウ.35pp., 大日本図書,東京.
美ノ谷憲久・福田晴男(1984)奥只見〜日光間のフタスジチョウに関する知見.月刊むし,(160):20-23.
絶滅危惧U類 チョウ目 ジャノメチョウ科
キマダラモドキ Kirinia epaminondas Staudinger
全国カテゴリー;準絶滅危惧【選定根拠】@大部分の個体群で個体数が減少A大部分の生息地で生息条件が悪化
【形態】翅表の斑紋は雌雄によってかなり違っている。雄では黄褐色で斑紋は不鮮明、雌では黄班が発達していて、ややキマダラヒカゲ類やヒメキマダラヒカゲに似ている。成虫は年1回、多くの産地では7〜8月に出現する。越冬態は1齢幼虫である。湿地を林床に持つ林縁やカシワの疎林などが生息地であるが、極めて局地的である。幼虫の食草はススキなどである。成虫はクヌギやコナラの樹液で吸汁する。また、一部の個体は、夏眠にはいるようである。
【分布】国内では北海道、本州、四国、九州に分布するが局地的。国外では朝鮮、満州、アムールに分布する。
【県内の分布、生息状況】県内では磐梯山周辺と阿武隈山地で採集されている。産地は極めて局地的で、最近の記録は、いわき市と北塩原村だけである。猪苗代町では見られなくなってしまったが、その理由としては別荘地造成などが考えられる。本種の生息には極めて微妙な条件を必要とするらしく、大変よく似た環境でもほとんどの地域で本種は生息していない。成虫は7月下旬から発生する。
【生息に影響を与えている要因】森林伐採
【特記事項】本種は生態的にも不明な点が多いため、現存する発生地を、環境ごと保全することが望ましい。
【主要文献】
冨田國男(1992)裏磐梯のキマダラモドキ.ふくしまの虫,(10):30.
郡司正文(1998)いわき市川前町におけるキマダラモドキの観察について.ふくしまの虫,(17):16-17.
福島大学生物学研究会動物班(1976)弁天山における土壌動物と昆虫類.福島大学教育学部生物研究会会報,(31):15-34.