レッドデータブックふくしまT 植物・昆虫類・鳥類 -352/451page
準絶滅危惧 チョウ目 セセリチョウ科
ホシチャバネセセリ Aeromachus inachus inachus Menetries 全国カテゴリー;絶滅危惧U類【選定根拠】a 分布域の一部で個体数が減少b 分布域の一部で生息条件悪化
【形態】県内産のセセリチョウの中で最も小さいこと、前翅に一列の白斑列があること、後翅裏面全体に黒斑が散りばめられていることで他種と区別できる。
【分布】国内では、本州にのみ分布し、東北、関東、中部地方、離れて中国地方に産する。国外では、中国大陸、朝鮮半島、アムール等。
【県内の分布、生息状況】阿武隈山地、奥羽山脈、会津地方と県内各所で記録があるが、いずれも局所的に分布しており個体数も少ない。本種は、ススキの生育した小空間が活動範囲で、牧場の周辺部の疎林や林道沿いのわずかな空間での記録が多い。
【生息に影響を与えている要因】道路工事人工林植栽
【特記事項】発生地の小草地を保全し、荒廃や針葉樹林化を防ぐことが望ましい。
【主要文献】
有賀俊司ら(1986)阿武隈山地の蝶(1)セセリチョウ科.おけら,(54):25-65.
伊藤良作ら(1969)博士山の蝶.茨城大学生物研究会,1-10.
準絶滅危惧 チョウ目 アゲハチョウ科
ギフチョウ Luehdorfia japonica Leech 全国カテゴリー;絶滅危惧U類【選定根拠】b 分布域の一部で生息条件悪化
【形態】日本特産の春季にのみ出現する代表的な種で、赤、藍、黄、橙、黒の5色に彩られた翅を持つ蝶である。雌雄の斑紋は酷似するが、雌はやや大型で地色が濃く、腹部の細毛を欠くので区別は容易。同属のヒメギフチョウとは棲み分けるが、形状、斑紋は近似する。後者は小型なうえ、後翅の橙色紋を欠き、さらに前翅外縁先端の黒条が本種では内側に折れ曲がるが、後者は直線状である。両種は交雑することもある。
【分布】日本特産。本州の日本海側に産地が多く東海、近畿地方にも分布する。国外では中国などに同属の別種が生息。
【県内の分布、生息状況】県内では会津の特産種。阿賀川流域では西会津町、高郷村、只見川流域では只見町、金山町、三島町に局地的に分布する。食草は、コシノカンアオイ、ユキグニカンアオイ、ウスバサイシン、ミチノクサイシン等で、近年はソノウサイシンからも発生している。いずれの産地も針葉樹林化による生息の後退があり個体数が減少した産地もある。
【生息に影響を与えている要因】森林の管理放棄
【特記事項】食草の自生地を保護し、針葉樹林を落葉樹林地帯に戻すことが望ましい。
【主要文献】
石川佳宏(1998)西会津町で採集したギフチョウとその観察記録.ふくしまの虫,(17):12-15.
角田伊一(1985)福島県のギフチョウ属.昆虫と自然,20(4):2-7.
新村太朗(1940)南信州産蝶類雑記(1).Zephyrus,8(3/4):122-130.
中島久朋・郡司正文(1966)西会津町産ギフチョウの変異個体について.ふくしまの虫,(14):34
鈴木智史(1988)西会津産ギフチョウに関する一知見.蝶研フィールド,3(3):25-26.
斎藤修司(2000)高郷村でのギフチョウの記録.ふくしまの虫,(19):41.