レッドデータブックふくしまT 植物・昆虫類・鳥類 -353/451page
準絶滅危惧 チョウ目 シロチョウ科
ヒメシロチョウ Leptidea amurensis Menetries 全国カテゴリー;絶滅危惧U類【選定根拠】a 分布域の一部で個体数が減少b 分布域の一部で生息条件悪化
【形態】春に現われるものは黒色紋がほとんどなく真白であり、翅の大きさに対し体が細く弱々しい感じがする。モンシロチョウやスジグロシロチョウの春型も白色化の傾向があるが、本種の翅形は細長く、前翅先端が丸いことで容易に区別出来る。夏、秋に発生するものは、前翅先端に丸い黒色紋が現われる。これは特に、雄に強く現われる傾向がある。北海道には、近縁のエゾヒメシロチョウが分布するが、本県には生息しないので間違える事はない。
【分布】国内では、北海道、本州、九州に分布する。国外では、中国大陸、アムール、朝鮮半島に分布する。
【県内の分布、生息状況】県内では、過去においては全県に広く分布していたが、近年は会津地方を除いて、記録が極端に減少した。会津地方においても、分布は局所的で非常に狭い場所で発生している。成虫は食草であるツルフジバカマよりあまり離れる事はない。
【生息に影響を与えている要因】河川改修野焼き河川増水
【特記事項】発生地が局限されているため、食草の刈り込みを行なわないことが望ましい。
【主要文献】
斎藤忠雄(1981)福島市弁天山における蝶類の記録.福島生物,(24):33-36.
斎藤忠雄・小林潤一郎(1994)福島市摺上川上流域の昆虫・チョウ目・チョウ類.ふくしまの虫,(12):7-14.
佐々木泰弘ら(1990)阿武隈の蝶(3)シロチョウ科.おけら,(56):2-56.
水野谷昭三(1998)ヒメシロチョウ今昔.ふくしまの虫,(17):38.
水野谷昭三(1999)田島町にヒメシロチョウ健在.ふくしまの虫,(18):135.
郡司正文(2001)北塩原村と磐梯町で採集したヒメシロチョウ.ふくしまの虫,(20):23-24.
準絶滅危惧 チョウ目 シロチョウ科
ツマグロキチョウ Eurema laeta betheseba Janson 全国カテゴリー;絶滅危惧U類【選定根拠】a 分布域の一部で個体数が減少b 分布域の一部で生息条件悪化
【形態】夏型と秋型があり、いずれも近似種のキチョウより翅端がとがり、特に秋型では後翅裏面が褐色を帯び横縞があるなど一見して区別できる。食草であるマメ科のカワラケツメイは荒地や河川敷などに多く、秋型の成虫はこの様な場所でよく目撃される。年3〜4回の発生で、秋型は成虫で越冬し翌春産卵する。陽あたりの良い路傍などの草花で吸蜜するが、地上で吸水する姿を見ることも多い。11月上旬まで見られることもある。
【分布】国内では、本県南部から本州、四国、九州など南日本にかけて広く分布するが、沖縄、八重山には産しない。国外では、台湾、中国に分布する。
【県内の分布、生息状況】過去においては県北地方での記録もあるが、県内では南部地域を土着分布の北限とする種であり、深い山地や高地帯には見られない。明るく開けた河川敷や、荒地、休耕田などにも見られ、特に八溝山地の北部に位置する矢祭町は従来から産地として有名。最近は減少傾向にある。
【生息に影響を与えている要因】河川の増水河川工事
【特記事項】本種は、人間の生活圏に分布域をもつことが多いだけに、人為的な影響を受ける可能性が高い。
【主要文献】
水野谷昭三(1998)中通り南部のツマグロキチョウについて.ふくしまの虫,(17):38.
水野谷昭三(2000)県南のツマグロキチョウ1999年総決算.ふくしまの虫,(19):42-43.
佐々木泰弘ら(1990)阿武隈の蝶(3)シロチョウ科.おけら,(56):2-56.