レッドデータブックふくしまT 植物・昆虫類・鳥類 -354/451page

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準絶滅危惧 チョウ目 シジミチョウ科

カラスシジミ
Strymonidia w-album fentoni Butler

【選定根拠】a 分布域の一部で個体数が減少b 分布域の一部で生息条件悪化
【形態】色彩斑紋は、雄雌ほとんど同じである。雄には前翅に光沢のない楕円形の小さな斑紋が見られるが雌にはこれがない。尾状突起は雄では短く、雌では長い。成虫は、年1回出現し、卵で越冬する。成虫が出現するのは、九州では5月中下旬、本州・北海道では6〜7月である。成虫は渓流に沿った樹林や樹林と草地の境界などに見られる。幼虫の食樹はニレ科のハルニレ、コブニレ、オヒョウなどである。
【分布】国内では、北海道、本州、四国、九州。国外では、樺太、朝鮮、満州からヨーロッパにかけて広く分布する。
【県内の分布、生息状況】県内では、会津地方や阿武隈山地で主に記録されている。その中でも記録の多いのは、南会津と阿武隈山地北部である。その他でも発見される可能性は高いが、調査が不充分である。甲子高原にも生息するという。南会津では、花で吸蜜中の個体が比較的多く見られるが、阿武隈山地北部では樹上高いところで少数が見られる程度である。成虫は7月〜8月にかけて出現する。
【生息に影響を与えている要因】森林伐採
【特記事項】南会津地方では森林も深く、峻険な地形に生息しているので当分は心配ないと思われる。阿武隈山地では、伐採がかなり進んでお
り、環境悪化が懸念されるので、注意が必要である。
【主要文献】
伊藤良作ら(1969)博士山の蝶.茨城大学生物研究会,1-10.
薄井英司(1994)福島市でのカラスシジミの記録.ふくしまの虫,(12):25.
郡司正文ら(2000)阿武隈山地のチョウT.ふくしまの虫,(19):1-3.
小林潤一郎(2000)館岩村でのカラスシジミとウラジャノメの記録.ふくしまの虫,(19):45.
中島久朋(1995)カラスシジミを桧枝岐村で採集.ふくしまの虫,(13):25.

カラスシジミ


準絶滅危惧 チョウ目 シジミチョウ科

オオゴマシジミ
Maculinea arionides takamukui Matsumura
全国カテゴリー;準絶滅危惧

【選定根拠】a 分布域の一部で個体数が減少b 分布域の一部で生息条件悪化
【形態】翅表は青紫色で外縁が太い黒色の帯状になっている大型のシジミチョウである。翅裏は黒色の丸い小さな紋が多数散りばめられている。ゴマシジミに似るが、棲息地が、河川の源頭部およびその周辺であるので一般的に間違えることはない。
【分布】国内では、北海道、本州に分布する。国外では、ウスリー、アムール、朝鮮半島に分布する。
【県内の分布、生息状況】県内では、奥羽山脈、飯豊山地、南会津地方に限られる。発生地は、いずれも谷川の源頭部およびその付近に限られ食草のカメバヒキオコシやクロバナヒキオコシの生育した場所である。しかし、本種の発生には、食草があることだけでは十分でなく、クシケアリがいることが必要である。幼虫は、4齢初期まで花穂を食べて成長し、その後クシケアリの巣に入り幼虫を食べて育ち、アリの巣の中で幼虫のまま越冬し、翌年6月ころ蛹になり、8月羽化する。
【生息に影響を与えている要因】森林の伐採
【特記事項】本種は開けた明るい場所を嫌うので森林の皆伐は避けるのが望ましい。しかし、逆に森林化が進みすぎると生息域が後退すること
も知られている。
【主要文献】
小林博隆(1985)県内における2、3の蝶の記録.ふくしまの虫,(3):4.
鈴木弘(1993)福島市の蝶V.ふくしまの虫,(11):6-7.
蜂谷剛(1958)福島県の蝶類追加.福島生物,(1):37-38.
横井直人(1985)桧枝岐にオオゴマシジミを求めて.ふくしまの虫,(3):8-9.

オオゴマシジミ


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