レッドデータブックふくしまT 植物・昆虫類・鳥類 -357/451page
希少 コウチュウ目 オサムシ科
ハガクビナガゴミムシ
Odacantha hagai Nemoto 【選定根拠】a どの生息地においても低密度で希少b 生息地が局限
【形態】体長5o内外。細長いゴミムシで、上翅の色は黄褐色をしている。近似種が数種同じ環境に生息しているが、本種は他種に比較して体長が若干短いことと、上翅側縁と会合部の各々2間室が帯状にはっきりと黒褐色になることで区別される。
【分布】今までのところ本州のみに分布しており、スゲ類の生えた湿地や河川のヨシ原から見つかっている。
【県内の分布、生息状況】相馬市松川浦のヨシ原から見つかったのが唯一の記録である。
【生息に影響を与えている要因】生息域である湿地やヨシ原が減少傾向にある。
【主要文献】
笠原須磨生(1992)福島県におけるハガクビナガゴミムシの記録.甲虫ニュース,(97):5.
希少 コウチュウ目 タマキノコムシ科
アブクマチビシデムシ Catops sonei M.Nishikawa
【選定根拠】b 生息地が局限c 孤立した分布特性を有する
【形態】体長約5oのチビシデムシで、上翅の色は黄褐色をしている。
【分布】本州(茨城県と福島県)に分布しており、阿武隈高地にある洞窟の中から記録されている。洞窟内のコウモリの糞やその周辺から見いだされる。
【県内の分布、生息状況】川内村の鍾乳洞から見つかった記録が唯一のものである。
【特記事項】洞窟という特殊な環境が生息域である。
【主要文献】
西川正明(1995)阿武隈高地産チビシデムシ属の洞窟性の1新種.ELYTRA,23(1):71-75.
希少 コウチュウ目 クワガタムシ科
オオクワガタ Dorcus curvidens binodulus Waterhouse
全国カテゴリー;準絶滅危惧【選定根拠】a どの生息地においても低密度で希少
【形態】体長は雌30〜50o、雄30〜80o。全体黒色を呈した大型のクワガタムシ。雄の大アゴは内側に強く湾曲し、中央付近でやや上を向いた内歯があるが、体長により大きく変化する。雌のアゴは短く、強い光沢を持ち、上翅には明瞭な12条の点刻列がある。
【分布】北海道、本州、四国、九州、対馬に分布している。関東地方以西では主に平地のクヌギやカシ類の大木のある森に見られるが、東北地方ではブナ帯から見つかっている。
【県内の分布、生息状況】県内からは、南会津郡から多く記録されているが、中通りでも記録があり、正式な記録はないが浜通りでも生息が確認されている。南会津では、灯火に飛来した雌個体が見つかることが多いが、ブナなどの朽木から見出されるほか、樹液からも見つかっている。
【生息に影響を与えている要因】森林減少採集圧
【主要文献】斎藤忠雄(1991)福島市茂庭地区のクワガタムシ.ふくしまの虫,(9):6-7.
粕谷伸孝・志垣敏郎(1995)福島県におけるオオクワガタの材からの採集記録.月刊むし,(292):45.
三浦宏二(1996)福島県でオオクワガタを樹液から採集.月刊むし,(304):50.
芳賀馨等(1998)福島虫の会調査会報告(三岩岳とその周辺の昆虫).ふくしまの虫,(16):4-20.
武田府美緒(1999)福島県南会津郡でオオクワガタを樹液(?)から採集.月刊むし,(340):112.
亀岡裕児(2000)福島県南会津地方のオオクワガタ.月刊むし,(350):59-63.
希少 コウチュウ目 クワガタムシ科
ネブトクワガタ Aegus laevicollis subnitidus Waterhouse 【選定根拠】a どの生息地においても低密度で希少
【形態】体長は雌12〜17o。雄11〜22o。体色は黒褐色ないし黒色を呈し、前胸背板と上翅にはやや光沢がある。また上翅には9本の縦条があり点刻列をそなえている。
【分布】本州、四国、九州、伊豆諸島、対馬、屋久島、種子島、琉球(トカラ列島、奄美諸島)に分布している。
【県内の分布、生息状況】西会津町、福島市、楢葉町から散発的に記録されており、いずれも樹液から見いだされている。太平洋側における分布の北限となっている。
【主要文献】
田添京二(1970)福島県でネブトクワガタを採る.甲虫ニュース,(9):6.
田添京二(1971)福島県産甲虫覚書その7.福島生物,(14):1-4.
久保田博道(1981)モミの樹液でネブトクワガタを採集.月刊むし,(130):30.
斎藤忠雄(1991)福島市茂庭地区のクワガタムシ.ふくしまの虫,(9):6-7.