レッドデータブックふくしまT 植物・昆虫類・鳥類 -366/451page
注意 カメムシ目 コオイムシ科
コオイムシ
Diplonychus japonicus Vuillefroy 全国カテゴリー;準絶滅危惧【選定根拠】全国的には希少だか、まだ県内には比較的多く生息している。
【形態】体長17〜20o。体は黄褐色〜暗褐色、ほぼ卵形で扁平。前脚は捕獲脚となるがあまり太くなく、爪は2個。中・後脚は遊泳脚となる。尾端に伸縮自在の短い呼吸管がある。初夏の頃、雌は雄の背面に卵を産みつける。この亜科には雄に臭腺がない。
【分布】本州、四国、九州に分布する。
【特記事項】コオイムシによく似た種にオオコオイムシがいる。
注意 コウチュウ目 ゲンゴロウ科
ゲンゴロウ Cybister japonicus Sharp
全国カテゴリー;準絶滅危惧【選定根拠】主に池沼に生息しているが、近年西日本において急速に姿を消しつつあるため、全国版レッドデータでは準絶滅危惧種とされた。しかし県内ではまだまだ容易に生息を確認することが可能である。
【形態】体長36〜39o。体型は卵形をしており、背面は光沢のある黒色でやや緑色がかり、前胸背板と上翅の側縁は広く黄褐色に縁取られる。体下面は黄褐色で、腹部中央、各腹節前・後縁が黒色を呈している。
【分布】北海道、本州、四国、九州に分布。
【県内の分布、生息状況】県内各地の平地から低山地にある水生植物の生えた池沼やなどに生息しており、個体数の多い所も見られる。
【主要文献】
大桃定洋(1988)県南地方の甲虫分布資料(その2.水生食肉亜目).ふくしまの虫,(7):13-15.
疋田直之・鈴木智史(1998)会津地方産水生甲虫採集記録(その1).ふくしまの虫,(17):24-26.
水野谷昭三(1999)中通り南部の水生甲虫について.ふくしまの虫,(18):64-68.
注意 コウチュウ目 コガネムシ科
オオチャイロハナムグリ Osmoderma opicum Lewis
全国カテゴリー;準絶滅危惧【選定根拠】自然度の高い落葉広葉樹林に生息し、記録も少ないため全国版レッドデータでは準絶滅危惧種とされた。しかし県内で本種が生息可能と思われる環境は、それほど減少傾向にはない。
【形態】体長22〜32o。体色は光沢のある黒褐色を呈しており、青銅ないし紫銅色の光沢を帯びることがある。
【分布】本州、四国、九州、屋久島に分布する。
【県内の分布、生息状況】県内各地の山地帯から記録されているが、過去には溝井(1961)の報告のように平地のすぐそばでも生息していたようである。山地帯の木のウロの中や立枯木で見つかることが多いが、ミズナラの樹液に来ていた例もある。
【主要文献】
溝井正春(1961)採集覚え書き福島県昆虫相資料T.福島生物,(4):19-20.
高嶋威男(1966)尾瀬でオオチャイロハナムグリを目撃.インセクト,17(2・3):25.
斎藤忠雄(1991)オオチャイロハナムグリの記録.ふくしまの虫,(9):45.
久保田憲二(1994)福島市摺上川上流域の昆虫コウチュウ目.ふくしまの虫,(12):33-67.
田中裕二(1994)オオチャイロハナムグリの樹液での採集例.月刊むし,(285):34-35.
注意 チョウ目 タテハチョウ科
オオムラサキ Sasakia charonda charonda Hewitson
全国カテゴリー;準絶滅危惧【選定根拠】全国レベルでは希少であるが、本県では一般に見られる。
【形態】国内最大のタテハチョウで雌雄共、翅表には白、又は黄色の紋が多数配されているが、雄は中央部から基部にかけて紫色に輝くのに対し、雌は全体が茶褐色である。オオムラサキに対して小型のものにコムラサキが生息しているが、大きさが全く異なるので間違えることはない。
【分布】国内では、北海道から九州にかけて広く分布する。国外では、中国大陸、朝鮮半島などに分布する。
【県内の分布、生息状況】県内では、広く分布している。幼虫はエノキ、エゾエノキを食べるが、これらの木は旧街道沿いや寺院の裏庭に植えられることが多かったため、身近な場所でも生息している。
【主要文献】
斎藤修司(1986)山都町で分布が確認できた蝶類96種.福島生物,(29):21-28.
斎藤忠雄(1981)福島市弁天山における蝶類の記録.福島生物,(24):33-36.
松崎有光(1981)福島県いわき市産蝶類最近の知見.ちょうちょう,4(5):43-53.
吉井太門・横井直人(1986)梁川町のチョウ類.ふくしまの虫,(5):12-16.