レッドデータブックふくしまT 植物・昆虫類・鳥類 -381/451page
絶滅危惧T類 タカ科
クマタカ Spizaetus nipalensis orientalis Temminck et Schlegel 【選定根拠】A全ての生息地で生息条件が悪化
【形態】翼開張140〜165cmでトビよりも大きい。翼の幅が広く、羽根を広げて飛ぶときの後縁が膨らみ丸みを帯びて見える。頭部から後頸は黄白色で黒色縦斑があり、後頭には羽冠がある。下面は白色で胸に黒色縦斑がでる。尾羽には数本の黒帯がある。羽ばたきはかなりゆっくりとしており、高空を輪を描いて飛ぶことも多い。イヌワシはクマタカより大きく黒っぽく見える。ノスリはクマタカより小さく尾が短い。また翼下面や尾に黒帯がない。
【分布】日本では低山から亜高山帯の林に周年生息する。インド西部から中国南部、台湾にかけて分布している。
【県内の分布、生育状況】
会津地方、奥羽山脈、阿武隈山地の深い森林に生息している。会津地方では大きな谷ごとにみられる。高空をゆっくり飛び、あるいは樹上に静止して獲物を狙い、見つけると急降下して中型以上の鳥やノウサギなどの哺乳類を捕食する。冬は上空にでるので観察しやすく、夏は森林内での生活が多くなり、姿を見るのが困難である。
【生息に影響を与えている要因】開発やレジャーに伴う人の出入り営業地近辺の森林伐採
【特記事項】営巣地を含めた生息域の保護が望ましい。
【主要文献】
日本野鳥の会会津支部(2000)会津のワシとタカ.歴史春秋出版,p30-36.
山口吉盛(2000)神奈川猛禽類レポート.神奈川野生生物研究会,p17-38.
絶滅危惧T類 ハヤブサ科
ハヤブサ Spizaetus nipalensis orientalis Temminck et Schlegel 全国カテゴリー;絶滅危惧U類【選定根拠】@全ての個体群で個体数が減少
【形態】ハシボソガラスよりやや小さい。雌雄はほぼ同色で、上面は石版黒色。頬に目立つヒゲ状の黒斑がある。下面は白く、黒褐色の横斑がある。翼下面は白と黒の横斑がある。幼鳥は上面が褐色で羽縁は淡褐色。下面は淡褐色で黒褐色の縦斑がある。「ケーケーケー・キイキイ・キッキッ」などと鳴く。
【分布】留鳥として九州以北で繁殖し、冬鳥として沖縄を含む全国に渡来する。南極を除く全世界に広く分布する。
【県内の分布、生息状況】本種の県内での確認はオオタカに比べ少ない。以前から南会津やいわきから繁殖の報告はあったが、最近では冬期間に中通りや会津地方の平地から山地の河川、湖沼、崖や浜通りの島嶼や海岸の崖から確認情報があった。繁殖の可能性を示す情報が数ヶ所からあり今後の確認をまちたい。
【生息に影響を与えている要因】開発等に伴う人の出入りと騒音里山の荒廃
【特記事項】自然環境の保全とともに、繁殖期には特に警戒性が強いため、営巣地の保護が望ましい。