チュウサギ |
Egretta intermedia intermedia (Wagler) |
全国カテゴリー;準絶滅危惧
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【選定根拠】a どの生息地においても低密度で希少
【形態】いわゆるシラサギと言われるサギの一種。大きさはダイサギとコサギの中間。目先が黄色である点が青緑色であるダイサギやコサギと異なる。夏羽では嘴が黒いが冬羽では全体が黄色でその先端が黒いことが多い。体はコサギより大きいが、嘴の長さはコサギより短い。コサギの足指は黄色だが、チュウサギはダイサギと同じで足指は黒い。
【分布】アフリカ、アジア、オーストラリアなど広く分布する。日本には夏鳥として渡来し本州から九州まで各地で繁殖する。
【県内の分布、生息状況】水田や湿地で生活。松林、雑木林、竹やぶ等でダイサギ、コサギ、アマサギ、ゴイサギ等とともにいわゆるサギ山を形成し、集団繁殖する。各地で確認されているが、数はきわめて少ない。
【生息に影響を与えている要因】水田開発水質汚染農薬散布森林伐採
【特記事項】水田、河川の水質環境保全が望ましい。また集団営巣地周辺住民から、鳴き声の喧騒、糞害等の苦情により有害鳥獣駆除の対象とされることが多いので適切な対策を行うことが望ましい。
クロサギ |
Egretta sacra sacra (Gmelin) |
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【選定根拠】a どの生息地においても低密度で希少
【形態】ほぼコサギ大で、雌雄同色。全身が煤けた色の黒色型と、白色の白色型があるが、黒色型が普通で県内では黒色型が分布している。後頭の冠羽は雄の方が多い。黒色型は全身が石板黒色。嘴と足の色は淡黄色、黄褐色など個体により変化が多く、嘴は黒褐色または黄褐色。足指は黄色みの強い黄緑色で飛翔時には足指の裏が黄色に見える。成鳥には頸の付け根と背に細長い飾り羽がある。
【分布】東南アジアからオーストラリアにかけて分布する。日本では千葉県房総半島先端部、秋田県男鹿半島以南とされる。
【県内の分布、生息状況】本県での分布はいわき市鮫川河口から四倉町までの海岸の岩礁地帯・河口で、単独個体または二羽で行動する。いわき市では黒色型が見られる。原町市小沢の海岸でも見つかっている(1999年3月18日)。繁殖の確証はないが、その可能性も否定できない。
【生息に影響を与えている要因】海岸開発
【特記事項】遊漁・海岸レジャーも生息に影響しているので生息に影響を与えないような人間活動が望ましい。
シジュウカラガン |
Branta canadensis leucopareia (Brant) |
全国カテゴリー;絶滅危惧TA類
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【選定根拠】a どの生息地においても低密度で希少b 生息地が局限
【形態】全長55〜110cm。頭頸は黒く、喉から眼の後方までほぼ三角形に白いのが共通した特徴。下腹・腰側・大尾筒は白い。嘴は黒く、足は黒色に近い暗鉛色。
【分布】日本にはアリューシャン列島で繁殖したものが冬鳥として渡来。
【県内の分布、生息状況】渡来数が極めて少ない種であり、1999年11月にいわき市小名浜で観察例がある。突発的に出現する種で県内には定期的渡来地はない。
【特記事項】海岸の干潟・浅瀬・湖沼などの保全。
コクガン |
Branta bernicla orientalis Tugarinov |
全国カテゴリー;絶滅危惧U類
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【選定根拠】a どの生息地においても低密度で希少b 生息地が局限
【形態】ガン類の中では最も小さく、マガモより少し大きい。雌雄同色。頭から頸・胸は黒色で、腹はやや色が淡く白色の横斑がある。喉に白色の首輪状の横縞があるが、大きさには個体差がある。頸は比較的短い。脇、下腹部、上尾筒、下尾筒は白い。嘴と足は黒い。若鳥の上面には淡色の横縞があり、喉の白斑のないものもいる。
【分布】極北部で繁殖し、日本には冬鳥として渡来する。宮城県蒲生海岸までは渡来する。
【県内の分布、生息状況】県内の観察例は、いわき市錦町の蛭田川河口(1982年12月12、18日)、小名浜三崎公園の岩礁(2000年2月6日)で確認されている。
【生息に影響を与えている要因】海岸開発
【特記事項】海岸線、特に岩礁の保全が望ましい。