マガン |
Anser albifrons frontalis Baird |
全国カテゴリー;準絶滅危惧
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【選定根拠】a どの生息地においても低密度で希少b 生息地が局限
【形態】ヒシクイより小型、体は灰褐色で背には淡色の横斑があり、腹に不規則な黒色の横縞がある。下尾筒と上尾筒は白く、嘴の基部の周囲は白い。足は橙色。非常によく似たカリガネは小さい。「カハハン、カハハン」「クワワン、クワワン」とよく透る声で飛翔中でも地上でもよく鳴く。群れの時は「ガガガ」という声もだす。
【分布】冬鳥として渡来するが、伊豆沼、蕪栗沼、片野鴨池、琵琶湖、宍道湖が大規模渡来地。シベリア北部で繁殖。
【県内の分布、生息状況】従来は県内にも多く見られたらしいが、戦後の田園開発に伴い、渡来数は激減。その大部分は伊豆沼に渡来するため、本県に飛来するものは少ない。しかし、1977年2月に相馬市松川浦に群れで飛来し、それから毎年数例の小群の報告があるが、2001年2月、郡山市近郊に最大71羽の群れを確認している。
【生息に影響を与えている要因】池沼開発農耕地改変
【特記事項】生息地の自然環境の保全と繁殖地の保護を行うのが望ましい。
トモエガモ |
Anas formosa Georgi |
全国カテゴリー;絶滅危惧U類
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【選定根拠】a どの生息地においても低密度で希少
【形態】全長約40cmで、コガモよりやや大きい。雄の顔には黄白色に緑黒色の巴形に似た斑紋があるのでこの名がある。雌は褐色で黒い斑紋があり、嘴基部の羽毛に白い円斑があるのが特徴。
【分布】東シベリアで繁殖し、朝鮮半島・日本・中国で越冬。淡水湖沼性。
【県内の分布、生息状況】中通りは主に阿武隈川と周辺の池や沼。浜通りではダム湖や川などで観察されている。会津地方でも川や湖、沼などで1〜数羽の小群で観察されることが多い。
【特記事項】湖沼や川の水質を保全することが望ましい。
シノリガモ |
Histrionicus histrionicus pacificus
(Brooks) |
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【選定根拠】a どの生息地においても低密度で希少b 生息地が局限
【形態】雌雄とも体型に丸みがあり、成鳥雄は顔から腹まで光沢のある青色で白と黒の模様が複雑に入る。成鳥雌は全体が灰黒褐色で耳羽と目の前方の上と下に白斑がある。幼鳥や若鳥は成鳥雌に似ている。
【分布】冬鳥として本州中部以北の岩の多い海岸に渡来するが、本州北・中部の山間渓流部で小数が繁殖する。
【県内の分布、生息状況】浜通りの岩場及び磯場の多い海岸に生息する。いわき海岸での生息数は1999年2月調査で119羽で主に岩場のある漁港周辺で貝類や甲殻類を食べている。
【生息に影響を与えている要因】海岸開発
【特記事項】生息地である磯場を保全することが望ましい。
ツミ |
Accipiter gularis gularis (Temminck
et Schlegel) |
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【選定根拠】a どの生息地においても低密度で希少
【形態】体長30p弱の頭部と顔が黒い小形のタカ。日本各地の亜高山や里山が主な棲かだが、近年都市近郊のアカマツを好んで営巣木にすることがある。寒冷地の個体は秋から暖地に移動する。主に小鳥を捕食するが小形のネズミや昆虫もとる。ツミとハイタカは大きさ、尾の長さ、下面の模様など酷似しており飛翔時の識別は極めて困難である。春から夏には高く帆翔することがあり、愛らしい声でよく鳴く。
【生息に影響を与えている要因】営巣地近辺の森林伐採土地造成カラスとの競合里山荒廃
【主要文献】
日本野鳥の会研究センター(2001) Strix,19