ケアシノスリ |
Buteo lagopus menzbieri Dementiev |
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【選定根拠】a どの生息地においても低密度で希少
【形態】全長約55cm。ノスリよりわずかに大きい。頭部から胸がクリーム白色で腹部の暗褐色が目立つ。ふ蹠は白色の羽毛でおおわれている。尾は白色で先端に黒色帯がある。翼の下面は淡褐色で、初列風切の先端と下雨覆の一部が黒い。あまり羽ばたかないで輪を描いて飛ぶことが多く、両翼は浅いV字形をなす。
【分布】ユーラシア大陸の極北部、千島列島で繁殖し、冬期は日本など温暖地に渡り越冬する。
【県内の分布、生息状況】農耕地、原野、干拓地、河川敷など比較的開けた場所に生息する。よく低空飛翔をし、小動物を探し、ネズミや小鳥を捕食する。本県では1945年、1991年に観察記録がある。
【生息に影響を与えている要因】土地造成河川開発
【特記事項】採餌場となる草地や河川敷などの保全が望ましい。
【主要文献】
湯浅大多郎(1953)福島県の鳥.日本野鳥の会郡山支部,p131.
コチョウゲンボウ |
Falco columbarius insignis (Clark) |
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【選定根拠】a どの生息地においても低密度で希少
【形態】キジバトと同じくらいの大きさ。雄は頭上と体上面は鮮やかな青灰色。後頸、頸側、体下面は橙褐色で黒褐色の縦斑がある。雌は頭上と体上面が灰褐色で淡バフ色の斑がある。体下面はクリーム色で太い褐色の斑がある。雌雄共にクリーム色の眉斑は比較的明瞭である。越冬中はほとんど鳴かないが、「キィキィキィ・・・」と鳴く。
【分布】冬鳥として全国の農耕地、草地、アシ原に渡来する。ユーラシア、北アメリカ北部で繁殖し冬期は南へ渡る。
【県内の分布、生息状況】県内にも冬鳥として少数ではあるが、各地からの確認情報がある。広々とした草原や川辺の荒地草原、農耕地、集落周辺の農耕地などで見られる。最近の確認例は中通りが多い。
【生息に影響を与えている要因】草地開発荒地開発
【特記事項】自然環境の保全が望ましい。
チョウゲンボウ |
Falco tinunculus interstinctus McClelland |
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【選定根拠】b 生息地が局限
【形態】ひらひら飛び停空飛翔を頻繁に行う尾が長く翼端があまり尖っていないハヤブサ類。農耕地や原野、広い川原、干拓地、丘陵地など日本各地で観察出来る。狩場で木や杭など見張り場にとまりひとたび舞い上がった後次々と場所を変えて停空飛翔をし、獲物を探す。ハタネズミ、昆虫、小鳥などを餌とする。営巣は断崖の横穴や岩棚、樹洞などで行う。近年従来の生息環境を追われた個体が橋桁や広告塔など建造物を利用する例が増加している。コウモリ等も捕食する。
【県内の分布、生息状況】福島県内各地に生息している。特に浜通り地域での観察例が多く、その中でもいわき地域は頻度が高い。
【生息に影響を与えている要因】圃場整備
【特記事項】餌となる昆虫やハタネズミの生息する環境の保全が望ましい。
オオバン |
Fulica atra atra Linnaeus |
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【選定根拠】a どの生息地においても低密度で希少
【形態】クイナ科の中では最も大きく、体全体が黒い。嘴とそれに続く額が白く目立つ。バンの額は赤い。飛ぶときは次列風切の先端が白いのが見える。「キョキョーン」とか「クエーン、クエーン」と甲高い声で鳴く。首を前後に動かしながら泳ぐ。
【分布】ユーラシア大陸、北アフリカに広く分布する。国内では本州中部以北で繁殖するが局地的。
【県内の分布、生息状況】主として広い湖沼や池に生息する。局地的である。夏井川や鮫川の河口、猪苗代湖、郡山周辺地の池などで確認されているが、数は少ない。最近の例では2000年10月裏磐梯秋元湖において7羽を確認。県内では冬鳥とされているが、夏期に見られた例もある。
【生息に影響を与えている要因】湖沼開発、水質汚染、釣り船や狩猟者等の生息地侵入
【特記事項】渡来地の環境保全を行うのが望ましい。