タマシギ |
Rostratula benghalensis benghalensis
(Linnaeus) |
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【選定根拠】a どの生息地においても低密度で希少b 生息地が局限
【形態】形はタシギに似ているが、嘴は短く先が少し下に曲がっている。雌は雄より美しく、抱卵、育雛も雄が行う。雌雄とも目の回りの白、胸側の白線とそれに続く背の外側の黄色い線が目立つ。雄は喉から胸は灰褐色で雨覆には丸い斑紋が並ぶ。雌は喉から胸は赤褐色で扇羽外側に白い線がある。雌は繁殖期には夕方から夜にかけて「コォーコォーコォー」と鳴き、この声を出す前に「ウッウフー」という声を数回出すことが多い。
【分布】本州中部以南では留鳥として繁殖し、中国からマレーシアにかけても生息している。
【県内の分布、生息状況】1980年に郡山市で確認され、また、相馬地方、いわき地方でも確認されたが、最近の生息情報の大部分が中通り南部に集中し、2000年6月にはディスプレーや交尾を平成13年7月には雛連れの雄を確認している。生息数は非常に少ない。
【生息に影響を与えている要因】湿地開発農薬汚染
【特記事項】水田や湿地等生息環境を保全するのが望ましい。
タゲリ |
Vanellus vanellus (Linnaeus) |
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【選定根拠】a どの生息地においても低密度で希少
【形態】冬羽は頭上と長い冠羽は黒い。背中は黒ずんだ緑色。遠目では黒く見えることが多い。下面は白く、上胸に幅の広い黒色帯がある。夏羽は額、眼先、喉が黒い。ケリよりやや大きく、大型のチドリ類。ケリより足が短い。飛行時の体の下面、翼と体の白と黒のコントラストからケリと見間違えることがある。秋冬に飛び立つとき「ミュー」と特徴のある声を出す。
【分布】広くユーラシア大陸に分布。日本には主に冬鳥として渡来。北陸地方の一部で繁殖する。
【県内の分布、生息状況】水田、沼地、湿地などでみられる。各地で確認されているが数は少ない。会津地方では3月の雪解けの頃水田に集まっては移動する5羽から20羽くらいの群れをよく見かける。
【生息に影響を与えている要因】農薬汚染湿地開発
【特記事項】水質汚染に留意し、水環境保全を行うのが望ましい。
キョウジョシギ |
Arenaria interpres interpres (Linnaeus) |
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【選定根拠】a どの生息地においても低密度で希少
【形態】雌雄はほぼ同色、嘴は短く上に反り、足は赤く短い。夏羽では頭部から胸は白地に特徴のある黒い縞模様があり、体の上面は赤褐色、黒と白のマダラで腹部は白い。鳴き声は濁った声で「ゲレゲレ」「ギョギョギョ」「ビリリ」などと鳴く。
【分布】旅鳥として全国に渡来し、海岸、干潟、河口、河川、水田などに生息。繁殖はシベリアや北部。
【県内の分布、生息状況】浜通り海岸、河口の磯場、砂浜で7月から9月に観察されているが、1980年代は夏井川河口、永崎海岸で数十羽の群れが確認されたが1990年代に入り激減し、数羽のみの生息となる。
【生息に影響を与えている要因】河川、海岸開発による生息域の減少と海浜レジャー等による侵入
【特記事項】採餌場となる河口周辺の自然環境の保全が望ましい。レジャー行為による立ち入りを行わないことが望ましい。
ツルシギ |
Tringa erythropus (Pallas) |
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【選定根拠】a どの生息地においても低密度で希少
【形態】シギ類では中型の種類で、アカアシシギやキアシシギに似るが、頸部及び足は長くツル類を連想させる。嘴は細く棒状で基部は赤い。体色は夏羽ではすすけた黒色、冬羽は全体に灰白色で灰褐色の斑紋がある。足は赤い。
【分布】ほぼ全国的に渡来し、太平洋岸の干拓地、干潟、塩田などで見られるが、まれに山地の湖沼、湿原などに姿を見せる。
【県内の分布、生息状況】福島県内には3月下旬頃渡来し、秋期9月頃に再び渡来する。本県では相馬市松川浦及びいわき市鮫川河口での確認例があるだけで、繁殖確認例はない。渡来地は海岸の干潟やかっての塩田跡など半鹹水地域で、国内では秋よりも春の方が渡りの数が多い。
【生息に影響を与えている要因】湿地開発河川開発海岸開発
【特記事項】自然環境(特に干潟、河口部の三角州)の保全を行うのが望ましい。車両での侵入防止等騒音にも配慮することが望ましい。