レッドデータブックふくしまU 淡水魚類/両生類・爬虫類/哺乳類 - 017/122page
さらに近年カワウの生息数が急増しており、関係機関が協議し、調査捕獲や食性の分析を実施して、早急な対策を講ずるため状況の把握に努めている。
今回のレッドリストに掲載した希少な種を含む在来種を保護保全し、生態系の機能を維持するためには、継続的な生息状況の調査とともに、外来魚などによる捕食、水質等の生息環境要因等を更に調査・分析し必要な対策を講じていくことが望まれる。
2 調査手法
本調査は、ふくしまレッドデータブック作成検討委員会淡水魚類分科会(以下「淡水魚類分科会」という。)で検討した手法、区域を対象にして行った。現地調査は福島県内水面漁業協同組合連合会に委託して関係する漁業協同組合(以下「漁協」という。)の協力を得ながら実施し、文献調査については分科会が担当した。
1)調査組織
会津、中通りおよび浜通りの各方部に組織されている漁協のうち、会津では会津、南会東部、西会津地区、桧原および南会津西部の5漁協が、中通りでは阿武隈川と久慈川第一の2漁協、浜通りでは真野川、新田川・太田川、室原川・高瀬川、富岡川、木戸川、夏井川及び鮫川の7漁協が魚類の採捕を担当した。
また、必要に応じ淡水魚類分科会委員や福島県内水面水産試験場、財団法人ふくしま海洋科学館(アクアマリンふくしま)の協力を得ながら実施した。
2)重点調査種の選定と文献調査
ふくしまレッドリストの候補種として特に重点的に調査を実施する重点調査種は、環境庁(省)のレッドリスト掲載種のうち本県に生息する種及び淡水魚類分科会が選定した種とした。なお、重点調査種の選定には現地調査結果及び最近年の文献資料を用いた。
3)現地調査と資料整理
現地調査は平成12年度より平成14年度までの3カ年実施した。平成12年度は会津地方、平成13年度は中通り地方の調査と会津地方の補完調査を行い、平成14年度は浜通りを中心に実施した。現地で採捕した魚類は、重点調査種を主にエチルアルコールで保存し、後日淡水魚類分科会委員が同定した。魚類調査票、モニタリング及び聞き取り調査票並びに写真も併せて提出された。現地調査に際しては、関係機関への特別採捕申請等の手続きがとられた。
以上のような調査結果をもとに分布図等の資料をとりまとめ、淡水魚類分科会においてそれぞれの種の生息状況や個体数の推移などについて検討を加え、20種のレッドリスト掲載種を選定した。
3 今後の課題
今回の調査は3年間の短い期間に実施したものであり、県内全ての水域を網羅したものではない。したがって、今後の調査により希少な魚類が新たに発見される可能性もあり、それらを明らかにするための調査の継続と絶滅を防止するための実効ある体系的な対策の実施が望まれる。