タナゴ |
Acheilognathus melanogaster(Bleeker)
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全国カテゴリー;絶滅危惧TB類
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【選定根拠】A大部分の生息地で生息条件が悪化B大部分の個体群で再生産能力を上回る捕獲圧に直面産卵母貝の減少
【形態】全長6〜10cm。タナゴの仲間では、最も体高が低い。口ひげは短く、肩部に暗点が顕著でないことなどで、類似種のアカヒレタビラと区別される。産卵期の雄は背面が青緑色、腹部が淡紅色、腹面が黒色になる。
【分布】神奈川県から青森県にいたる太平洋側に分布。
【県内の分布、生息状況】河川の下流から、ヤマメが生息しているような上流部にもみられる。浜通り地方を中心にやや不連続にみられる。夏季にドブガイ等の二枚貝に産卵し、稚魚は1ヶ月前後で貝から泳ぎ出る。
【生息に影響を与えている要因】河川開発池沼開発水路整備水質汚濁帰化生物との競合(タイリクバラタナゴ) 帰化生物による捕食(オオクチバス、ブルーギル)
産卵母貝の減少
【特記事項】福島市の男沼にも生息するが、移植された可能性がある。
【生息データ件数】 20
イトヨ(陸封型) |
Gasterosteus sp.; land.locked form
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全国カテゴリー;絶滅のおそれのある地域個体群
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【選定根拠】@大部分の個体群で個体数が減少B大部分の個体群で再生産能力を上回る捕獲圧に直面
【形態】体形は側扁し、尾柄は細い。背びれに3本、腹びれに1対、尻びれに1本の棘がある。体側には鱗板が並び、全長8cm。降海型と陸封型があり、陸封型の体形は、ややずんぐりしている。会津のイトヨは陸封型である。
【分布】北米、ヨーロッパ、極東アジアなど北半球に分布する。国内の陸封型は、北海道、青森県、栃木県、福井県などに生息するが、いずれも内陸部の湧水池に限られている。
【県内の分布、生息状況】陸封型は会津盆地の北会津村(県・村指定)喜多方市(市指定)・会津坂下町(町指定)で天然記念物に指定されている。他に田島町・下郷町・会津若松市などに生息する。降海型は夏井川の支流の横川で捕獲されている(永山茂雄1987)。
【生息に影響を与えている要因】森林伐採池沼開発河川開発水路整備土地造成生息地局限地下水の過剰揚水
【特記事項】里山、扇状地などの水源涵養地帯の森林保全、湧水量確保のための水路づくりなど水循環を遮断しない配慮が必要である。北方系魚類のイトヨ保全のためには、20℃を越えない湧水域の確保が必要不可欠である。
【生息データ件数】15
【主要文献】
山中實(1978)那珂川・阿賀野川両水域におけるイトヨの分布とその生態.昭和52年度文部省科学研究費補助金報告書.文部省.
環境庁(1982)日本の重要な淡水魚類(東北版).環境庁.
山中實(1990)福島県のトゲウオ.淡水魚保護,90:91-95.
永山茂雄(1993)いわきの淡水魚.いわき地域学会図書,12:44-45.