レッドデータブックふくしまU 淡水魚類/両生類・爬虫類/哺乳類 - 045/122page

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改訂版レッドデータブック(環境省,2002)では原則的に「亜種レベル」を評価の対象としているが、今回の福島県の作業では「種レベル」を評価の対象として採用した。

前述の新種として報告されたオゼホオヒゲコウモリは、ヒメホオヒゲコウモリ(Myotis ikonnikovi )の亜種とされることもあり、このヒメホオヒゲコウモリに関しては改訂版レッドデータブック(環境省,2002)の「参考資料1」によると、フジホオヒゲコウモリ(M.i.fujiensis)、シナノホオヒゲコウモリ(M.i.hosonoi)、オゼホオヒゲコウモリ(M.i.ozensis )、ヒメホオヒゲコウモリ(M.i.ikonnikovi )、エゾホオヒゲコウモリ(M.i.yesoensis )の5亜種に分けられている。亜種でみると福島県に生息するものはフジホオヒゲコウモリと同定されるが、今回の作業ではこれら5亜種を1つにまとめてヒメホオヒゲコウモリ(Myotis ikonnikovi )として取り扱った。なお、これら5亜種をすべて別種に分ける見解もある。

その他の分類群に関してもヒメホオヒゲコウモリと同様に「種レベル」を対象としており、亜種に関しては選定された種の【分布】の項目で触れたものもある。改訂版レッドデータブック(環境省,2002)でもレッドデータブック(環境庁,1991)で採用された和名や学名が変わっているものもあり、哺乳類の分類も確定したものではない。

それぞれの分類群の概要は次のとおりである。

モグラ目でこれまでに生息することが確認された種は、トガリネズミ科のトガリネズミ、カワネズミおよびジネズミの3種、モグラ科のヒメヒミズ、ヒミズ、ミズラモグラおよびアズマモグラの4種で合計7種になり、評価対象も7種である。主に土壌中でトンネル生活をしている種が多く、捕獲することが困難である。今回は安達太良山系でミズラモグラを新たに確認することができた。

コウモリ目では、キクガシラコウモリ科のキクガシラコウモリとコキクガシラコウモリの2種、ヒナコウモリ科のモモジロコウモリ、ヒメホオヒゲコウモリ、クロホオヒゲコウモリ、アブラコウモリ、クビワコウモリ、ヤマコウモリ、コヤマコウモリ、ヒナコウモリ、チチブコウモリ、ウサギコウモリ、ユビナガコウモリ、テングコウモリおよびコテングコウモリの13種で合計15種である。

今回の作業等に関わって、最近福島県に生息することが新たに判明したコウモリは、クロホオヒゲコウモリ、クビワコウモリ、チチブコウモリおよびユビナガコウモリの4種である。しかし、全体的に確認された個体数は少なく、ヤマコウモリのように以前生息が確認されていたねぐら(樹洞)から姿を消してしまった種や、コヤマコウモリのように全く捕獲されなかった種もいた。一方、ヒナコウモリのように都市部の人工構造物(陸橋や新幹線の高架橋の橋桁の隙間)にねぐらを形成する種が確認されたことは注目に値する。

サル目ではオナガザル科のニホンザル1種だけである。東北地方では過去の狩猟圧が原因と考えられる分布の分断が示されている一方で、里山の人家周辺にまでその分布域を広げ、人間生活との軋轢が見られるようになってきたことは気になるところである。

ネコ目では、イヌ科のタヌキ、キツネ、ノイヌ(対象から除外)およびオオカミ(絶滅)の4種、ネコ科のノネコ(対象から除外)、イタチ科のテン、イタチ、イイズナ、オコジョ、アナグマおよびカワウソ(絶滅)の6種、アライグマ科アライグマ(対象から除外)、クマ科のツキノワグマ、ジャコウネコ科のハクビシン(対象から除外)の合計14種で対象は10種である。この中には、イイズナのように、標本が存在せず生息していたという情報が1件だけ存在するものや、過去に生息していた情報があるものの、最近50年間ではまったく生息情報がないオオカミとカワウソがいる。

また、ツキノワグマは、「第2回自然環境基礎調査動物分布調査報告書(哺乳類)」(福島県,1979)で阿武隈川から西の地域に分布していたが、近年、阿武隈川を越えて阿武隈山地から東にも分布域


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