レッドデータブックふくしまU 淡水魚類/両生類・爬虫類/哺乳類 - 047/122page

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1)現地調査

現地捕獲調査は、ネズミ類を捕獲するためには主に生捕用のシャーマントラップを、モグラ類を捕獲するために墜落缶やモールトラップを、コウモリ類を捕獲するためにカスミ網や手網を使用した。また、コウモリ類の確認にはねぐらや越冬地となる洞穴や隧道などで、直接観察することや手網等による捕獲も試みた。

また捕獲以外の手法として、野外調査による直接観察や痕跡の確認、センサーカメラによる自動撮影を試みた。また、ロードキル個体(交通事故個体)確認も重要な生息情報として取り扱った。

2)聞き取り調査

聞き取り調査は、哺乳類の生息に詳しいと考えられる県内の自然公園指導員や鳥獣保護員および林業関係者に、アンケート用紙を郵送して情報を収集する方法と、県のホームページを利用したインターネットによる情報の収集も実施した。特に、コウモリ類については、ねぐらや越冬地などの情報を広く求めた。なお、聞き取り調査については、不明な点を補いながらそのほとんどを生息確認情報として取り扱った。インターネットによる情報に関しては、現地調査で生息が確認できたものについてのみ生息情報とした。

3)文献調査

環境基礎調査や各種論文などから、原則として平成元年(1989)以降のものを生息情報として利用した。さらに、生息を確認できるものについては生息状況を確認し、生息数などの年次的な推移を検討した。また、鳥獣保護センターに保護された鳥獣のデータについても、原則として平成7年(1995)以降の情報について生息情報に加えた。また、狩猟および有害駆除個体など捕獲場所などが詳細にわかるものについては生息情報とした。

3 生息情報の整理

調査により収集された生息情報は約4,000データであった。県内初確認となる種の標本などは、福島大学教育学部生物学教室に保管することにした。なお、コウモリ類に関しては改訂版レッドデータブック(環境省,2002)の哺乳類分科会委員である吉行瑞子博士に標本の同定を依頼した。また、収集された生息情報は環境省のメッシュ地図(環境庁,1997)を用いて処理し、生息確認の年次変化の情報などと共に、「ふくしまレッドデータブック作成検討委員会哺乳類分科会」においてレッドリストの検討に使用した。その結果、哺乳類としては、絶滅2種、絶滅危惧T類1種、絶滅危惧U類1種、準絶滅危惧1種、希少8種、注意3種および未評価8種の合計24種が選定された。

4 今後の課題

選定された24種のうち3分の1に当たる8種が未評価であり、福島県の哺乳類の生息状況調査はこれからの調査が大切なものとなる。しかし、哺乳類の調査には労力と時間がかかる上に、トラップでの捕獲効率も悪いことなどから、確認作業は大変困難であるのが現状である。自然環境の改変が急速に進行して哺乳類の生息環境が悪化していることに加えて、鳥獣保護法の改正等により哺乳類の捕獲調査がさらに困難になることも予想されることから、環境省、文化庁等のさらなる援助を得て調査体制を整え、今後の生息状況調査を継続することが強く望まれるところである。


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福島県生活環境部環境政策室自然保護グループの許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。