レッドデータブックふくしまU 淡水魚類/両生類・爬虫類/哺乳類 - 048/122page

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絶滅 ネコ目 イヌ科

オオカミ
anis lupus Linnaeus
全国カテゴリー;絶滅

【選定根拠】B過去50年前後の間に信頼できる情報が無い
【形態】頭胴長95〜114cm、尾長30cmで、大陸のオオカミと比較すると小柄なオオカミである。「ヤマイヌ」とも呼ばれ独立種とする説もある。
【分布】ユーラシア中・北部、北アメリカに広く分布する。日本では北海道、本州、四国、九州に分布していた。北海道産をエゾオオカミ(C.l.hattai )、他をニホンオオカミ(C.l.hodophilax ) として亜種で区別する。
【県内の分布、生息状況】陸奥の国三春藩の産物帳にオオカミの記載があり、阿武隈山地を中心に県内各地に分布していたと考えられる。しかし、会津地域ではオオカミの餌となるイノシシやニホンジカが少なく、生息していても密度が低くかったと考えられている。
【特記事項】田畑を荒らすイノシシやシカなどを餌とするため、田畑の守り神「大口の神」、「大神」として崇められていたが、江戸時代中期以降の狂犬病の流行等により捕殺が奨励され、生息数が減少した。さらに、ジステンバーの流行、餌動物の減少などが追いうちをかけ絶滅したと考えられる。なお、国立科学博物館には、明治の初めに捕獲された福島県岩代産とあるオスの剥製が1個体収蔵されている。
【主要文献】
藤原仁(1994)まぼろしのニホンオオカミ.福島県の棲息記録.歴史春秋社.
今泉吉典(1992)幻のニホンオオカミ.週刊朝日百科動物たちの地球,(45).
石井信夫(2002a)ニホンオオカミ.(環境省編:改訂版レッドデータブック).
佐藤洋司(2001)哺乳類.(只見町史資料集4「会津只見の自然」).
野生生物研究センター(1988)第3回自然環境保全基礎調査総合解析報告書.
米田政明(1994a)ネコ目.(阿部永監修:日本の哺乳類)


絶滅 ネコ目 イタチ科

カワウソ
Lutra lutra (Linnaeus)
全国カテゴリー;絶滅危惧TA類

【選定根拠】B過去50年前後の間に信頼できる情報が無い
【形態】頭胴長55〜58cm、尾長35〜56cm、体重4.2〜11.5kgで雌より雄が大きい。四肢の指の間には水かきがあり、尾は太く円錐型をしている。他のイタチ科の動物と比較すると飛び抜けて大きい。
【分布】イギリス、ヨーロッパから東南アジア、中国、極東までシベリアを除くユーラシアの河川沿いに広く分布する。日本でも北海道、本州、四国、九州、壱岐、対馬などの河川の下流部に生息した。現在は四国南西部に生存の可能性が残るのみである。北海道個体群を(L.l.whiteleyi )、本州以南個体群を(L.l.nippon ) としたり、本州以南に生息する個体を別種ニホンカワウソ(L.nippon ) とする見解もある。
【県内の分布、生息状況】古くは全国各地で普通にみられた種とされることから、県内各地にも生息していたと考えられる。農林省家畜局による狩猟統計によると大正12年と昭和2年に県内で捕獲されている。檜枝岐村には1900年前半まで、只見町では1950年代まで生息していたと考えられているが、1950年代以降は、目撃情報や生息情報がない。
【特記事項】国の特別天然記念物で、現在は高知県の一部に生息するのみである。個体数減少の原因は毛皮目的の乱獲と考えられている。さらに河川環境の変化による餌資源の減少などが追い打ちをかけたと考えられる。
【主要文献】
蜂谷剛(1965)動物.福島県史25自然・建設編.pp. 469-528.
石井信夫(2002a)ニホンカワウソ.(環境省編:改訂版レッドデータブック).
三浦慎悟(2000)日本は野生動物とどのように向き合ってきたか.
佐々木浩(1992)ニホンカワウソの生態と保護.週刊朝日百科動物たちの地球.
佐藤洋司(2001)哺乳類.(只見町史資料集4「会津只見の自然」).
米田政明(1994a)ネコ目.(阿部永監修:日本の哺乳類).


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