レッドデータブックふくしまU 淡水魚類/両生類・爬虫類/哺乳類 -055/122page

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希少 ネズミ目 ネズミ科

カヤネズミ
Micromys minutus (Pallas)

【選定根拠】a どの生息地においても低密度で希少b 生息地が局限
【形態】頭胴長50〜80mm、尾長61〜83mm、後足長14〜16.7mm、体重7〜14gである。背面の毛の色は暗褐色で腹面の色は白色である。アカネズミ属に似るが、小型で吻と耳介が小さい。尾は長く先端の上面は裸出していて、物に巻き付けることができるので、イネ科植物などに登って地上1mぐらいのところに球形の巣を作る。
【分布】本州、四国、九州、隠岐、対馬などに分布し、同一種が大陸の旧北区に広く分布する。
【県内の分布、生息状況】福島市、伊達郡伊達町の阿武隈川河川敷草地などで確認されている。また、猪苗代町でもカヤネズミのものと思われる球巣が確認された。成獣が確認された太平洋側の北限は、現在は宮城県丸森町の阿武隈川河川敷きで、海岸部では原町市の新田川河口が最北地である。成獣の捕獲が大変困難で、生息情報が少ない。
【生息に影響を与えている要因】生息環境改変(河川敷や休耕地の生息環境の悪化) 生息地局限
【特記事項】低地の草地、河川敷、休耕地などのイネ科植物の生育する環境を保全することが望ましい。
【生息データ件数】8
【主要文献】
今泉ほか(1966)本州東部におけるホンシュウカヤネズミの新産地.
今関真由美・佐藤洋司(1996)新潟県と福島県におけるカヤネズミの新産地.
金子之史(1992)日本にすむネズミたち.週刊朝日百科動物たちの地球.
金子之史(1994)ネズミ目ネズミ科.(阿部永監修:日本の哺乳類).
木村吉幸他(1992)福島盆地周辺の小哺乳類の群集傾度について.
木村吉幸他(1998a)カヤネズミの分布北限について.福島生物,(41)
木村吉幸他(1998b)福島市においてカヤネズミを捕獲.哺乳類科学,38(1)
白石哲(1965)日本の哺乳類2 齧歯目カヤネズミ属.哺乳類科学,5(1)
白石哲(1992)世界で最も小さいネズミ.週刊朝日百科動物たちの地球.

カヤネズミ


希少 ネズミ目 ヤマネ科

ヤマネ
Glirulus japonicus (Schinz)
全国カテゴリー;準絶滅危惧

【選定根拠】a どの生息地においても低密度で希少b 生息地が局限
【形態】頭胴長68〜84mm、尾長44〜50mm、体重は夏が14〜20g、冬眠前で34〜40gとなる。背中にはっきりとした黒い筋、目の周りには、黒い毛がある。長い尾には毛があることでネズミ類と区別できる。
【分布】なお、ヨーロッパやアフリカ、西アジアにヤマネ科の近縁種が生息している。本種は日本固有種で、本州、四国、九州、隠岐に生息している。
【県内の分布、生息状況】これまでの調査では県内一円に生息が確認されているが、夜行性で生息数も少ないことから、発見されることは希である。会津地域では、冬眠のために家屋などに侵入する個体が確認されている。
【生息に影響を与えている要因】森林伐採生息地局限
【特記事項】国の天然記念物に指定されている。樹上性で高木の枝を利用し餌場やねぐらを行き来するため、連続した森林の保存が望まれる。
【生息データ件数】6
【主要文献】
福島県森林保全課(1991)福島県獣類生息状況調査報告書.福島県.66 pp.
蜂谷剛(1965)動物.福島県史25自然・建設編.pp. 469-528.
蜂谷剛(1994)福島県博物誌.福島県印刷センター,福島市.169 pp.
蜂谷剛他(1974)尾瀬の動物V.尾瀬の保護と復元,X:24-33.
今泉吉晴他(1964)尾瀬沼畔長蔵小屋附近の小哺乳類(資料).動物学雑誌,73.
石井信夫(1994c)ネズミ目ヤマネ科.(阿部永監修:日本の哺乳類).
木村吉幸(1984)燧ヶ岳の動物.(自然観察ガイドブック燧ヶ岳の自然).
湊秋作(2000)ヤマネって知ってる?.築地書店,東京.126 pp.
中島福男(2001)日本のヤマネ.信濃毎日新聞社,長野市.169 pp.
佐藤洋司(2001)哺乳類.(只見町史資料集4「会津只見の自然」).

ヤマネ


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