レッドデータブックふくしまU 淡水魚類/両生類・爬虫類/哺乳類 -068/122page
で長い時間をかけて築かれてきた生態系の循環を断ち切ることとなり、自然環境に対する様々な形での影響が懸念されている。
このような野生生物の絶滅の背景には、爆発的な人類の増加に伴う開発等による環境破壊や汚染、さらには、野生生物の不適切な商業取引等があるものと考えられ、これらの問題に地球規模で対処するため、昭和46年に、「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」(通称:ラムサール条約)が採択され、昭和48年には、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(通称:ワシントン条約)が採択された。
平成4年には「環境と開発に関する国連会議」(通称:地球サミット)の開催にあわせ、「生物の多様性に関する条約」(通称:生物多様性条約)が採択されており、生物多様性条約の締約国は現在までに184カ国(平成14年8月現在)にのぼり、国際的にも生物多様性保全の動きが広まっている。
イ わが国の状況
わが国が進めて来た野生生物の保護施策は鳥獣を中心としたものであったが、昭和55年に「ラムサール条約」、「ワシントン条約」の締約国となったことを契機に、野生生物全体の保護に取り組むべきとの機運が高まった。昭和61年からは環境庁(当時)において日本版レッドデータブック作成のための調査が開始され、平成3年にレッドデータブック(動物版のみ)が発行された。その後、野生生物の生息状況等の変化に対応するため、動植物すべての分類群を対象として平成7年より改定作業が行われている。
法体系の整備も行われ、平成4年に「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(通称:種の保存法)が制定された。平成5年には、環境保全の基本的な方向を示す「環境基本法」が制定され、基本理念として人類の存続基盤である環境が生態系の均衡のもとに成り立っているという認識が示された。
また、平成7年には、「生物の多様性に関する条約」の実施促進を目的として「生物多様性国家戦略」が策定された。平成14年にはこれを改定し、残された自然の保全を図る一方、破壊された自然環境を再生すること、保護施策の対象を身近な里地里山を含めた国土全体へ拡大することなどの新たな視点が盛り込まれた。
地方公共団体レベルでも、レッドデータブックの作成、希少な野生動植物の保護に関する条例が制定される等、地方での取り組みも活発化している。
ウ 本県の状況
本県では、環境に対する県民の意識の高まりを背景に、平成8年に「福島県環境基本条例」が制定され、これに基づく「環境基本計画」のなかで、自然と人とが共生するふるさとの実現を目指し、生物多様性を確保するための各施策が総合的に推進されることとなっている。平成14年には、「福島県猪苗代湖および裏磐梯湖沼群の水環境の保全に関する条例」を制定するなど、未然防止の考え