レッドデータブックふくしまU 淡水魚類/両生類・爬虫類/哺乳類 -078/122page
育地域が分散している等保護区の設定では対応困難なものについては、希少野生生物の種を指定し、採取、捕獲を地域を定めずに制限する等、圧迫要因の除去、軽減を図ることが効果的である。こうした規制措置を講ずるにあたっては、次の点について考慮すべきである。
○指定種の選定にあたってはレッドデータブックを有効に活用し、また、常に最新、詳細な生物学的知見を反映させるため、専門家による検討委員会等を設置し検討を行うこと。
○指定を受けた種については、定期的な追跡調査を行い、効果を検証し、保護対策の再検討(追加指定、指定解除等)を柔軟に行うことのできる体制を整備すること。
○指定種の決定については、検討委員会等で慎重に行うべきであるが、これまで絶滅したと考えられていた種が発見されるなど緊急に保護が必要とされる事態が生じた場合には、迅速に対応できるような仕組みを構築すること。
○採取・捕獲の規制については、県内全域のみならず、連続した区域で同様の措置を講ずることにより実施効果が高まると考えられるので、隣接県等と緊密な連携を図ること。
○学術調査を行う際に支障がでないよう適切な措置を講ずること。
ウ 希少野生生物の保護増殖
生物の種によっては、組織培養等の栽培技術による人工的な増殖が可能であり、今後、栽培技術の向上に伴い増殖可能となる種は増加するものと考えられるが、保護増殖の実施にあたっては、下記の事項について検討を進めていく必要がある。
○限られた個体から採取された組織等による増殖、また増殖個体による植生復元については、遺伝的多様性が失われる危険性が指摘されているため専門家の意見を参考として慎重に検討すること。
○絶滅のおそれが極めて高い地域個体群については、人工環境下による繁殖、増殖についてすみやかに検討する必要があり、そのタイミングについては生物学的知見に基づく高度な判断が要求されることから、早い時点から専門家の意見を参考とするための体制を整えること。
○比較的個体数が豊富である自生地から採取した種子等については、自生地における遺伝的固有性及び遺伝的多様性が保持されていると考えられることから、必要に応じ植生復元の一手法として取り入れていくこと。
○保護増殖事業の実施機関としては、県の試験研究機関だけではなく、高度な栽培技術を有している民間企業の協力を得て進めること。
エ 移入種への対応
近年、急速に生息域を拡大している移入種については、捕食による在来種の減少、交雑による遺伝子汚染等、生態系に対する様々な影響等が懸念されている。このため、生態系に影響を与えてい