レッドデータブックふくしまU 淡水魚類/両生類・爬虫類/哺乳類 -079/122page
る種の移入の経路等を調査し、影響の拡散防止を図る一方、定着した移入種については、駆除等を含めた対応策について検討する必要がある。
移入種の問題については、国においても法制度を視野にいれた検討が進んでいるが、輸出入に関する規制が中心になるものと考えられること、また、地域の自然的、社会的条件により問題の現れ方も多様であると考えられることから、地域固有の生態系を保全・維持するためには、本県においても地域の実情に応じた対策を積極的に進めていく必要がある。
(2)普及啓発の推進
希少野生生物保護のためには、県民に多くの野生生物が絶滅の危機に瀕している現状を認識してもらうことが重要である。今後、各種の保護施策を円滑に推進し、真に効果的なものとするためには、県民の協力が不可欠であり、希少野生生物保護の共通認識はそのベースとなるものである。
したがって、「レッドデータブックふくしま」の情報を広く提供し、生物多様性保全の意義に対する県民の理解を深め、野生生物保護思想の醸成をはかる等、長期的な視点に立って積極的に普及啓発活動を推進していく必要がある。
また、理念や知識の普及だけではなく、自然の中での学習(遊び)を通して野生生物を含めた自然への理解を深め、適切な接し方を身につけられるように体験的学習(遊び)の場を提供することも重要である。
このほか、人間と自然とが直接的に関わることにより、自然の恩恵あるいは脅威を実感できる農作業などの体験活動も、現実的な視野に立ち野生生物に関する問題を捉えバランスのとれた判断力を養うのに有効であり、積極的に体験活動の場を創出していくことが望まれる。
(3)調査研究の推進
希少野生生物の保護施策の実施にあたっては、説明責任を十分に果たすことが求められることから、信頼性のある希少野生生物に関する情報の集積が必要不可欠である。
本県では保護施策の基礎資料となるレッドデータブックが平成14年度末までに完成する予定であるが、情報の鮮度を保つためには、今後とも各分野の市民団体、研究会等との連携を図りながらモニタリング等を実施し、野生生物に関する基礎的な情報の収集に努め、掲載データの見直しを行うほか、客観的・定量的基準による掲載分類群の再検討や、科学的データに裏付けされた保護上特に重要な地域(ホットスポット)の特定についても早急に行う必要がある。また、生育環境の復元(例:里山、水田の管理放棄等が影響要因となっている種への対応)等の効果的な手法についても研究する必要がある。
しかしながら、本県には、希少野生生物に関する専門的な知識を有する人材が不足しているため、各関係機関(教育、環境、農林業等)と連携する等、地域の自然に精通している人材の育成、確保