理科野外観察の手引びき(小・中学校編)-016/82page
このほか,森林内部は,前述のように風が弱くなるため,葉からの蒸散作用や地面からの蒸発による水蒸気によF・て,夏は特に外部よりlo%くらいも湿度が高くなります。
枝をのばし葉を茂らせた樹木の下では,直射日光は葉などにさえぎられて光が弱くなり,このような湿度の多い日かげは,コケ・ソウ類・菌類などの生活に適していて,これらの植物をえさやすみかとする多くの動物が生活する場となります。
植物が土地に生育すると,雨や風による土壌の浸食を防ぎます。つまり,森林が発達すると雨が土壌を洗い流すのを防ぎ,根の発達によって水分を保存するとともに,落葉や枯れ枝など力_ヵビや細菌などの微生物のはたらきで分解され,土壌中の有機物を増して,土壌の性質を変化させるように在ります。
また,植物によ一コては,根から分泌される成分によって土壌のpHを変えることがあります。
さらに,池や湖沼などでも,周囲から土砂とともに植物が侵入すると,
そこに水生植物が繁茂するようになると,水温や溶存酸素量水底土壌の有機物や無機塩類を増加させるようになります。
このように,植物は,環境にはたらきかけて森林内の光`風・温度を変化させ.また,土壌の通気・保水・pH・腐植質の変化・水中の酸素量・塩類・水流の変化など,環境を変えているのです。
図-20夏における地表の温度の日変化(プナーチシマザサ群落内と林外探地の比較)
図-21森林内部での風速が変わるようす(地上1m)