理科野外観察の手引びき(小・中学校編)-018/82page
個体や種類との間のきびしい相互干渉関係がまちかまえています。それが第2の関門で,植物相互間の社会的規制というべきものです。それには,つぎの3つが考えられます。
1.植物相互の競争,となりの個体より1日も早く成長して,先に生育に必要な空間・養分・水分・エネルギー(日光など〕を専有して.他の個体の生育をおさえる直接の競争と,粗腐植がたい積して土壌が酸性になるなど,立地条件を変えて他の植物の生育をしめ出す間接の競争(例えばカラマツを何代も植林すると)とがあります。
2,植物相互の共存,日かげ植物(陰生植物)のヤツテや7オキは,スダジイやタブノキの常緑広葉樹の中の日かげでもっともよく生育しています。
多くの自然林では,高木・低木・草本が,生活形のちがいによって空間をすみわけて,競争しながらも,1つの群落として共存しています。
3.植物相互間の忍耐,植物は動物とちがって,芽をだした場所が,すでに他の植物にしめられていても,にげだすことはでき左い・上層をおおう植物が枯れるまで,その場耽でがまんするか.それができずに,自分がかれるかのいずれかで丸
だから,すでにある植物が空間を占有している群落,ブナ林では高木層のすぐ下の亜高木層まで生育した植物が,数十年もまたは数百年もしんぼうづよくがまんできてこそ,次代のその高木層の慶占者になれるのです。
私たちが,いつも見ている山野の森林や草原,田畑や空地などに生いしげる雑草などはどこでも自由に生育しているのではなくて,それぞれの場所のきびしい環境条件と,そこに生育している他の植物の個体や集団とのきびしい生存競争に打ち勝。て生育しているのです。
一般に,高湿・適温・よく肥えた深い土壌をもった場所ほど,そこに生育できる植物の種類や個体数は増加するの℃それだけ競争がはげしくなるわけです。
それで,現実には最適の土地に生育しているのではなくて,アカマツなどの場合は,土壌の浅い乾燥した南むきの斜面や尾根に,また湿性草原のまわりに最初に生えてくるなどのように,より乾いたあるいはより多湿なところというように,少しずれたところでがまんし左がら生育しているのです。
一見平和にみえる植物社会こそ,ているのです。
もっともきびしい直接・間接の競争が行われ