小学校福島県診断標準学力検査問題分析結果報告1977-013/42page

[検索] [目次] [PDF] [前][次]

3 指導上の留意事項
(1)文字
 1)読む
 ア 「規律」のように,正答率は低くないのに下降しているものについては,子どもたちはすでに「きりつ」ということばは知っている。しかし,漢字では書けないということではなかろうか。とすれば「きりつ」と「規」,「律」の結びつきを示唆することが必要だといえそうである。
 イ 「営む」のように,正答率も低く,下降しているものについては,子どもたちが,まだ「いとなむ」ということばを知っていない,使いこなしていないということではなかろうか。とすれば,この種の文字については,まず,そのことばの意味・用法の定着と「営」との結びつきという二面からの指導がなされなければならないということになる。
 ウ ア,イでのべたことは,「著わす」にもいえる。ことばや絵や音楽で「あらわす」ことは「表す」であり,その「表し」たことが具体的な文字,音声,色,形,音にあらわれることは「現われる」で,二つあわせて「表現」というのである。ことばで「表す」中で,文章によってあらわすのを「著す」と書く。そこで,ある文章を書き著した者を「著者」と書き「チョシャ」と読む。「チョ」であっても「著す」意味に変わりはない。こういう指導があれば,「著者」「著す」というような音と訓の読みわけはできていくであろう。
 2)書く
 ア 同音の漢字や同訓の漢字を使いわけることができないというのは,漢字の表意性に目を向けた指導がより必要であることを示している。
 イ 形の似た字については,漢字の構成が意味のちがいにつながってくるということを理解させなければならない。
(2)語句
 文脈から語句の意味をつかむことは,特に,「よそおう」,「おをひく」,「くじく」のように,こどもの言語生活の中に必ずしも多くあらわれないものの場合,特に練習の学習場面を頻繁に設定する必要があるであろう。
(3)文・文章
 1)読む
 説明的文章教材では,とくに事実と意見を読みわけることを訓練するとともに,その区別は,つねに「文」単位で行わせるべきである。
 このことは,要点をとり出し,場面を区切って読む力を育てることにも通じている。
 2)書く
 文と文とのつながり,段落と段落とのつながりをわかりやすくする接続語を正しく使う力は,順接,逆接の関係とそのための用語を関係づけて理解させることによって身につく。
 さらに,書くべき中心,いわば要旨をまっさきに考えて,それをきわだたせるために何をどのように配置するのがいいかという文章の書き方をくりかえし訓練すべきであろう。

[検索] [目次] [PDF] [前][次]


掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。