小学校理科教材指導のてびき-033/80page

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 測温する物に温度計を入れてからどの位で正しい目盛を示すようになるのかということは,いろいろな要因で異なります。普通の温度計では,よくかきまぜている水中で約2秒,しかし,静止空気中ではこれの約50倍もかかるといわれています。そのため差し込んだ直後や早い温度変化を追う場合は正しい温度を示さないので注意しなければなりません。一般に上昇温度をはかる場合はその温度を正しく指示しやすいが,温度降下の場合は遅れがでてきます。また,少量の液体の測温は温度計を入れると相手の温度が変化するので正しい値が得られません。

 ほぼ同じ条件で測温しても,温度計によって1〜2℃位の差が出てくるのが普通です。温度計(1℃目盛)は,標準の温度より土1℃のものが検定に合格しています。(検定公差1℃)さらに使用公差は検定公差の2倍で±2℃です。例えば色による熱の吸収を比べるとき,黒の方が白より0.5℃高くなったから,黒の方が熱吸収が大きいと結論を出すより,この温度計の使用公差は2℃であるから2℃程度の温度変化を確かめてから結論を出します。また4〜5℃と温度上昇まで実験を続けても時間の空費になります。測定器具の使用公差は,変化をどこまでさせるか,その判断の目安になります。温度測定のときは,結果を黒板に書かせ,おおよそ何度といった指導がよいと思います。普通の温度計ではその程度にしかまとめられません。

 ガラス製温度計は製造してから年数がたつと経年変化による誤差が入ってきます。そのため精度を維持するためには年1回程度の目盛校正が必要になってきます。業者から購入した時すでにいろいろな要因による誤差が入ってきているので一度0℃の指度を測定してみるとよいです。また,温度計の本数が多いときは,同じ温度の水に入れて同じ温度を示す温度計を色分けしてグループにしておき,同じグループのものを使用させるような工夫をすると大ぎな誤差は入ってきません。

4 使用教材

 温度計を使う実験は,各領域わたって非常に多いのですが,測定の方法は,基本的には操作法のところで述べた方法でよいと思いますが,なおいくつかの留意点を書いておきます。


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