OHPの活用とTP制作の手びき-118/152page
3)TPをセットする位置が,スクリーンから近い距離でも大きな映像が得られる。しかし,スクリーンから7mの距離にある生徒が疲れないでみることのできる文字は,ブロック体,大文字の大きさが,TP上で1cm平方位の大きさで,1枚のTPに10行以内というのが目安となるであろう。
4)弾力的な授業展開のために,投影中に資料面に自由に記入・消去ができる。(記入・消去法)この場合は,指導するクラス毎に,マザーシートの上に,TPシートを1枚重ねて書き込むなどすると,生徒に対して迫力のある授業となる。
(2)TP製作上の留意点
教材を準備するとき,特に低学年の教材では, structure-centered (構造中心)か situation-centered (場面中心)かが問題になる。構造中心の教材は,内容が幼稚になり,無味乾燥になりやすく,場面(situation)のない状態での言語表現は,知的訓練の材料の役目は果すが言語を運用する力はつかない。そこで,新しく導入する表現に適した自然な場面を設定するためには,TP(OHP)が簡便で,効率的である。
1)アイデアあふれる表現方法のくふう―生徒の立場にたって提示内容を精選し,焦点化する中で,英文や絵の精選(必要最少限にして単純化)や,画面全体のバランスや文字の大きさにも留意することがたいせつである。
2)手がきの手法―最初は,方眼紙等の上に下絵等の配列・文章などを検討した下書きにTPシートを重ねて絵や文字を写しとり,必要に応じて着色することをおすすめしたい。油性ペン(赤)(みどり)などで文字をかくことはさけたい。
(3)教材をTP化(絵画化)する効果
英文を聞かせながらTPによる絵を示したり,読ませる文と共に絵を添えたり,文型練習や問答に絵を用いることなどは次のような効果があるといえよう。
1)場面(situation)を与えることができる。
2)意味理解を助け,辞書をひかなくとも内容がわかる。
3)記憶を容易にし,永続させるのに役立つ。
4)文化的背景を与えることができる。
2.OHP活用の具体例(中学校)
(1)授業の流れ(Procedure)とTPの位置づけ
授業の流れ(procedure)の中でのTP(OHP)の使用位置は,どの段階でも利用できるが,資料の提示が容易だからといって,あまり多くの情報(TPの枚数等)を与えると,生徒が混乱してしまうので,50分の授業に数枚程度が適当であると思う。
OHPの使用を中心としたprocedure(第1学年指導略案)