-野外観察の手びき-浜通りの地層と川原-004/170page

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2.浜通り地域のおいたち

先カンプリア代後期の古地理図
先カンプリア代後期の古地理図
(湊正雄ら,1965による)

 

1.先カンプリア紀のできごと(5億7000万年以前)
湯本から石川町に通する御斎所街道沿いには,庭石としてよく知られた緑色をした緑色片石や,白黒の横しまの模様をもつ片麻岩類が露出しています。
これらの岩石は御斎所・竹貰変成岩類で,日本列島おいたちのなぞを解く手がかりをもつ岩石として多くの学者が研究に,訪れています。従来,この岩石が変成を受ける前の原岩は,古生代の堆積岩と考えられていました。そして,中生代に大規模な花南岩の貫入があり,その時,高温低圧型の変成作用を受けたことが,片麻呂類の変成鉱物を調べてわかりました。
ところが,この片麻岩類中から,十字石やラン品岩といった,低温高圧刑の変成作用をうけないとできない変成鉱物が見つかったのです。この事から,これらの変成岩は,中生代の変成作用の前に,少なくとも,もう一回変成作用を受けたのではないかと考えられるようになりました。

その時期は先カンプリア代か,シルル紀〜デボン紀と推定されます。こうなると,この変成作用をうける前の原岩は,先カンプリア代に堆積したことになるのです。そして,この堆積物の多くは,泥質岩と玄武岩質の凝灰岩であったと思われます。したがって,御斎所,竹貫及び阿武隈山地は,先カンプリア代には,海におおわれ,海底には泥が堆積し,海底火山も盛んであったと思われます。それが,先カンプリア代かシルル紀〜デボン紀に変成作用をうけ,更に,中生代にもう一回変成作用をううけ,現在見られるような変成岩ができました。
御斎所街道に見られる変成岩類は,いわき地方,広くは日本列島の基盤をつくっている岩石と考えられています。そして,先カンプリア代末期の造山運動で,日本列島を含めて東アジア一帯は陸化しました。


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