-野外観察の手びき-浜通りの地層と川原-005/170page

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2.古生代のできごと(5億7000万年〜2億2500万年前)

石炭紀前期の古地理図
石炭紀前期の古地理図
(湊正雄ら,1965による)

 
古生代前期については不明な点も多いが,日本列島で化石を含む最も古い地層は,シルル紀のものです。シルル紀中期頃から日本列島付近に海が次第に進入してきて,日本列島は海底時代へと入っていきます。この状態は二畳紀の末まで続くことになりますが,途中に何回か陸化を繰返したことが不整合の存在からわかっています。この海底時代を秩父地向斜時代と呼んでいます。
浜通りで観察される古生層は,阿武隈山地の東縁部の相馬地方では,真野川〜新田川間で東西巾約4〜5qにわたり分布しており,植の畑と立石部落の中間付近の地層から,腕足貝の“シノスピリファー”が発見されています。
この化石から,この地層は今から3億5千万年前の上部デボン紀に堆積したもので,阿武隈山地で最古のものとわかりました。
また,立石部落では“リソストローション”と呼ばれる石灰紀のサンゴの化石が発見されています。
鹿島町から川俣町に通ずる街道で,鹿島町より12q阿武隈山地に入った所に,上野部落があります。この付近一帯は黒色の粘板岩が分布しており,その中にうすく石灰岩層をはさんでいます。その石灰岩の中に二種紀の下部を示すフズリナの“シュードシュワゲリナ”と呼ばれる標準化石が見つかっています。
一方,いわき地方では,旧八茎鉱山一帯に分布する石灰岩中に石炭紀の化石である“海百合”の茎の化石が見つかっております。この石灰岩に花崗岩類が貫入して釜石鉱山と同じよらな接触交代鉱床ができ上り,磁鉄鉱,方鉛鉱,黄銅鉱,灰重石などの有用な金属資源が旧八茎鉱山から採堀きれました。
つぎに,高倉山週辺には黒色スレート,硬砂岩,礫岩などの地層が分布しており,二畳紀の腕足類のスピリファー,三葉虫,有孔虫類のシュードフズリナ・サンゴ類などの化石が数多く発見されています。日本列島付近は,二畳紀の末期に“本州造山連動”と呼はれる大きな造山連動がおこり隆起を始めました。

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