教師のための統計入門-011/233page
てしまっています。
この例からもわかりますように,平均値が代表値として意味を持つのは,データに,極端な差がない場合,ということになります。この例では,平均値を代表値とするのは,適当ではありません。
(2) 中央値(中位数,メジアンともいう)
中央値とは,データの各値を,大きさの順に並べたとき,中央の値をいいます。データの個数が偶数の場合は,中央の二つの値を平均したものをいいます。
中央値は,データの中の,極端な値に対しては,割合影響されないので,データに極端な値がいくつかある場合の代表値として,よく用いられます。
(1)で,例としてあげた6個の数値を大きさの順に並べますと,
45,50,55,55,60,100
この場合の中央値は,3番目と4番目の2つの値(どちらも55)の平均値ですから55です。この6個の数値の場合,代表値として,中央値が適当です。
(3) 並み数(最頻値,モードともいう)
並み数とは,データの中で,度数の最も多い変量の値をいいます。データが度数分布表に整理されているときは,最大度数を持つ階級値をいいます。
並み数も,極端な少数の値には,割合影響されることが少なく,最もしばしば起こるものにポイントをおいてデータの特徴をつかもうとする場合に用いられます。
4. 散布度
散布度とは,データのばらつきの度合いを示すデータの要約値をいいます。散布度には,範囲,平均偏差,分散,標準偏差などがあることはすでに述べました。次に,これらについて説明するわけですが,ちょっと趣を変えて,授業形式で話を進めることにします。以下,Tは教師,Pは生徒です。