教師のための統計入門-014/233page
P5 ずば抜けて良い人が1人,ずば抜けて良くない人が1人だけいて,他の人はみな同じような点数をとっている場合も,範囲はうんと大きくなってしまいます。
T うん,そうだね。そのようなとき,範囲はうんと大きくなるが,これらのずば抜けた特別なものを除くと,全体としてはまとまっている,ばらつきが小である,という場合もあるね。範囲は,ばらつきの度合いを表すものとして,極めて簡単に求めることができる,という長所がありますが,簡単に,ということは,粗雑である,ということでもあって,データの値のうち,1つでも極端なものがあると,それに強く影響される,という欠点があるわけです。だから,範囲を求めるときは,一応データの各値にざあっと目を通したり,図示したりして,特別な値があればこれについては十分吟味し,全体のばらつきの状態をつかむのに,その特別な値は別にした方が良いのかどうかを考えてから,求めるようにします。こういうわけで,C組の範囲が60点で,B組の範囲50点より大であるとはいっても,一概に,C組の方が,全体としてB組よりもばらつきが大きい,とはいい切れない場合もあるので,範囲を用いるときは,この点十分注意してください。
T 次に,A,B両組の得点の分布について,そのばらつきが,平均値xのまわりにどのようにばらついているかを見てみよう。A組,B組の平均は大体同じで,次の図のようになっています。
この図からもやはりA組の方がB組よりも大きく平均値のまわりにばらついていることがわかるね。データが,平均値のまわりにばらついている度合い,これを表すものとして,どんなものが考えられるだろう。
P ……?