教師のための統計入門-015/233page
T A組の方が,B組よりも平均値のまわりに大きくばらついている,というばらつきの度合い,これを何によって表したらいいだろう。その度合いを表すものとして,どんなものが考えられるだろう。
P5 あっ,先生,その平均からのずれを全部加えたものを考えたら…。
T なるほど,それは良い考えだ。この平均からのずれをみんな加えたものをねえ。だがそれで本当にうまくいくかな……。A組の人数はいくらだった。
P1 46人です。
T B組の人数は。
P2 44人です。
T 人数に違いがあるんだね。だったら,こういう平均からのずれを全部加えたものの比較は意味があるかい。
P3 あっそうか。だったら,平均して1人当りのずれを比べればよいと思います。
T うん,うまいね。平均すると1人当たりのずれがでるから,A組では1人当たりこれだけのずれ,B組では1人当たりこれだけのずれ,と基準が同じ1人当たりとなって比較が可能になるわけだね。うまいぞ。それで,まず,この平均からのずれの総和を求め,つぎにそれを平均する,ということになったね。さてと,このずれをみんな加えるのだな。そうするとこれはプラスのずれ,これはマイナスのずれだな。プラスのずれもあればマイナスのずれもある。これらをみんな加えたら,一体どんなことになるのかな。
P4 0になるのでは……。
T おー,すごい感だね。だが本当かな。本当に0になるかどうかやってみよう。その際,A組46人について考えるのは大変だから,話を簡単にして,たった3人しか生徒のいないクラス,かりにD組として,この3人の得点を X1, X2, X3,として考えることにしよう。さて,この3人の得点の平均点 -X はどう表せるかな。