教師のための統計入門-030/233page
6 変異係数(変化係数,変動係数ともいう)
標準偏差は,データが,平均値のまわりにばらつく度合いを示す値として考えだされ,それは,平均値と組みになって,データの特徴を示すデータの要約値として大切なものであることは,すでに何度か述べました。
しかし,標準偏差は,2種のデータの
○ 単位が異なるとき,
○ 単位が同じでも,平均値に大きな差があるとき,
には,その大小を比較しても意味がありません。
ピアソン(英1857〜1936)は,この不便を除くために,次の式で定義される相対的散布度を考えだしました。これが,変異係数といわれるものです。
(変異係数)=(標準偏差)/(平均値)×100(%)
(例4)次の(表6)は,昭和51年度文部省体育局による13歳(中学2年)男子の身長と体重の測定結果です。
(表6)
身長 体重 平均値 156.5 45.9 標準偏差 8.2 8.1
この例では,身長(cm)と体重(kg)の単位が異なりますから,それぞれの標準偏差8.2(cm)と8.1(kg)とをくらべて,身長,体重のばらつきの度合いはほぼ同じ,などということは,意味のないことなのです。
このような場合に,変異係数を求めて,それで比較するようにするのです。
この例で,身長,体重の変異係数をそれぞれ V1, V2 としますと,
V1=8.2/156.5×100≒5.2(%), V2=8.1/45.9×100≒17.6(%)
(電) 8.2÷156.5% 8.1÷45.9%
平均値の単位と標準偏差の単位は同じものですから,変異係数はその式から単位を持たぬ数値であることがわかり,ここで得られた数値5.2と17.6とは比較することができます。