教師のための統計入門-031/233page

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この結果,体重のばらつきは,身長のばらつきに比べて大きい,すなわち,13歳男子においては,身長にくらべて,体重の方が個人差が大きい,ということがわかりました。なお,変異係数はふつう%で表されます。

(例5) 次の(表7)は,昭和51年度の本県13歳男子のスポーツテストにおける50m走と持久走との結果です。

(表7)

  50m走 持久走
平均値 8.3秒 374.4秒
標準偏差 0.7 35.8

この例では,どちらの単位も秒で等しいのですが,走る距離に大きな差がありますので,そのまま,標準偏差の値を比べて,持久走のばらつきの方がはるかに大きい,などといっても,それは当たり前のことで,何にもなりません。

このような場合にも,変異係数を求めて,その大小によって,ばらつきの度合いを比べようというのです。

この例で,50m走,持久走の変異係数をそれぞれ V1, V2 としますと,

V1=0.7/8.3×100≒8.4(%),  V2=35.8/374.4×100≒9.6(%)

となって,持久走のばらつきは,距離が長いだけに,50m走のばらつきよりも大きくなっていることはわかりますが,同じ走る種目のせいか,思ったほど大きな違いがないこともわかりました。

上の例のほかに,変異係数は,校内実力テストなどの各科目のばらつきの状態を比較するときとか,スポーツテストの各種目のばらつきの状態を比較するときにも用いられるでしょう。

(注) 変異係数は,その定義式から,平均値を100とみた場合の標準偏差の大きさ,ということができます。したがって,(例4)の場合, V1=5.2(%), V2=17.6(%) とを比べて, V2 は V1 の3倍強であるから,体重のばらつきは,身長のばらつきの3倍強である,などということはできません。

また,(変異係数)=(標準偏差)/(平均値)の形で用いられることもあります。


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