教師のための統計入門-033/233page
しかし,反面それだけに,"以上"などと,大まかなことしかいえませんが,とにかく,標準偏差の値がわかれば,それを単位として,平均への集中度が測れるわけですから,この定理によって,標準偏差は,単にばらつきの度合いを示すデータの要約値というだけでなく,ばらつきの度合いを測る単位としての重要な意味を持つことがわかったのです。
少しくどくなりますが,平均値と標準偏差がわかれば,この定理によって,データの様子を大まかにつかむことができます。平均値と標準偏差は,単なる代表値としての平均値,散布度としての標準偏差とは別の,新たな意味を持つことが,この定理によって明らかになったのです。
ふつう,データを平均値と標準偏差の二つの数値に要約する背景には,この定理があったのです。
そして,さらに大切なことは,データが正規分布をするとき,この分布は,平均値と標準偏差の二つによって,完全に解明されるということです。それでは次に,正規分布について説明していくことにします。
8. 正規分布の性質
正規分布は,ド・モアブル(英1667〜1754)やラプラス(仏1749〜1827)やガウス(独1777〜1855)などが,それぞれ独自に発見した分布で,その確率密度関数は,