教師のための統計入門-034/233page
と表されます。ただし,mは平均値,σは標準偏差を表します。
そのグラフ(正規分布曲線または正規曲線)は,図のように,平均値のところが最も高く,左右対称な帽子の形をしていますが,平均値や標準偏差の値によって,平べったい帽子形とか,細長い帽子形など,その形はいろいろあります。
しかし,いずれも,対称軸は,x=mで,この曲線と横軸とで囲まれる部分の面積は1であり,この面積は,対称軸によって,面積がそれぞれ0.5の二つの部分に分けられます。
正規分布は,測定値の誤差の分布,身長などの身体各部の測定値の分布,安定した工程から生産される製品の測定値の分布などによく現れます。
また,学力テストの結果も,ほぼ正規分布をするときがあります。(昭和54年1月実施の第一回国公立大学共通一次試験の総合点の分布は,正規分布をしましたが,昭和55年1月実施の第二回の結果は,正規分布をしませんでした。)
このように,いろいろの現象を測定して得られたデータには,正規分布をすると見られるものが沢山あります。
また,話が少し難かしくなりますが,多くの分布の極限分布が正規分布をなすこと,母集団の分布が正規分布をする場合の,標本のある値の分布が,理論的にきちんと導かれ,それを用いて,実用上いろいろな推定や検定が行われること,などの理由から,この正規分布は,極めて大切な分布なのです。
そして,この,理論上も実用上も極めて大切な正規分布は,平均値と標準偏差というデータの二つの要約値によって,完全にその性質が解明されてしまうのです。(このことは,前ページの式から明らかです。)
ここにも,データの要約値として,平均値と標準偏差が多く用いられる大きな理由があったのです。
さて,正規分布の場合は,それがどんな平均値や標準偏差を持つものであっても,標準偏差を単位とした平均への集中度は,すべて同じで,付表2正規分布表のようになることが理論的に導かれ,計算されています。(p179問27参照)