教師のための統計入門-191/233page
問28 実験的教育研究法での二群法の場合に,つり合い法によって,実験群,統制群をつくる説明があります。(p207)この場合,二つの平均値の差の検定は,この本には書いてありませんが,対応のある場合の平均値の差の検定になると思うのですがどうでしょうか。
(答え) つり合い法で,14組にその部分集団として実験群,B群にその部分集団として統制群をつくる場合,まず,それまで何回か実施したその教科のテスト等の成績が,ほぼ等しい者どうしの対を,できるだけ多くとって,一応両群候補をつくります。そして,この両群候補が等質である,ということを,ふつうは,次の条件が満たされたとき,としてとらえます。
両群候補の (1)成績の平均値が等しいとみられる。
(2)知能テストの平均値が等しいとみられる。
(3)男女の割合が等しいとみられる。
そして,これらの条件がみたされたとき,両群候補は,それぞれ実験群,統制群となります。
ところで,このつり合い法ですが,これは,この両群候補が,それぞれ同一母集団から抽出されたとみられるほどに,両者の成績の平均値をそろえるための便法であって,厳密に対応する対としてみているわけではありません。また,それまでの成績がほぼ等しい,だけでは,理論上も実際上も,対応する対とみることはできないでしょう。かりに,成績のつり合った対を対応する対と認めたとしても,その対が,そのまま知能テストの結果についても,つり合った対をなすとはいい切れません。
このような理由で,対応のある場合の平均値の差の検定はとりません。
なお,知能テストのデータがないとき,実験群,統制群は,(1),(3)の条件のもとにつくればよいでしょう。
対応のある場合の平均値の差の検定は,