教師のための統計入門-209/233page
2回目の検定は,仮説をおろした授業(実験)終了後に実施した事後テストの結果,実験群と統制群との成績に,はたして差が認められたかどうかを検定するものです。この検定を,以後は仮説の効果の検定ということにします。
この2つの検定は,どちらも,基礎編p88,小標本の場合の母平均の差の検定ですが、次には,二群法におけるこの検定の意味について説明することにします。
1) 二群法での母平均の差の検定の意味
人数 平均値 標準偏差 実験群 38 72.6 12.3 統制群 38 69.8 13.5
上の表を,事後テストの結果であるものとします。実験群,統制群を,それぞれ母集団とみれば,平均点で28点だけ実験群が優れている,と判定され,話はそれでおしまいです。このような見方では,2.8点の差(実は何点の差であろうとも)は,決定的な差と解釈されます。
しかし,これとは別の見方もできます。すなわち,『同じ力を持つ二群ではあっても,いつでも同じ成績をとるとは限らず,そのときの調子によっては成績に差がでてくる場合もあるでしょうから,平均点で2.8点の差というものが,しばしば偶然によって起こり得るほどのわずかな差(偶然差)であるのか,それとも,全く力の異なった二群と見た方が良いほどの,本質的な著しい差(有意差または有意の差ともいう)なのかを調べる必要がある,という見方です。
このような見方では,実験群,統制群をそれぞれ母集団とみるのではなくて,この二群がそれぞれの任意標本と考えられるような二つの母集団を仮想して,この二群(実験群と統制群)の平均点の差は,この二群がまるで等質な母集団からそれぞれ任意抽出されたと考えられるほどのわずかな差なのか,それとも,まるで異質な差のある二つの母集団から任意抽出されたと考えた方がよいほどの本質的な著しい差なのかを,この検定によって見極めようということになります。』
この検定は形式的には二つの母集団の平均値の差を検定しているわけですが,この場合,実質的には,実験群,統制群の平均値の差を,(二つの母集団の違い