高等学校「理科1」のてびき-037/133page

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CaCO3+CO2+H2O⇔Ca(HCO3)2

2) 塩酸との反応によって生成したCaCl2について炎色反応を行う。

図2 未知物質の水溶液に、静かに3M-塩酸を加える。

実験方法

実験2―未知物質の成分元素を推定する。

未知物質(炭酸水素ナトリウム)約1gを、薬包紙に包んでわたす。

この未知物質を、薬包紙の上で3等分し、それぞれ試験管に移しとって、次の実験を行う。

1) 蒸留水5mlを加えて溶かし、炎色反応を行う。この溶液を4)に利用する。

2) 誘導管をつけて、物質を加熱し、変化の様子を観察し、水滴の生成を確認する。

3) 3M―塩酸2mlを、コマゴメピペットでとり、少しずつ加えたときの反応の様子を観察する。

4) 1)の水溶液に、3M―塩酸2mlを静かに加え、発生する気体を石灰水に通して反応させる。図2

4 結果と考察

(1) 食塩水の炎色反応は黄色であることから、食塩にはNaが含まれていることを確認させる。

(2) 食塩水に0.1M-硝酸銀を加えると白色沈でん(AgCl)が生じることから、食塩にはClが含まれていることを確認させる。

(3) 砂糖を酸化銅(2)と加熱すると、試験管内に水滴が生成することや、発生した気体は石灰水を白濁させることから、砂糖にはHとCが含まれていることを確認させる。

(4) 石灰石と塩酸の反応で発生した気体は、石灰水を白濁し、その溶液の炎色反応は燈色であることから、石灰石にはCaとCが含まれていることを確認させる。

(5) 食塩、砂糖、石灰石の実験結果と未知物質の実験結果を比較させることによって、未知物質の構成元素はNa、H、Cなどであることを推定させる。

5 留意点

(1) 試料物質の量は、いずれも0.3g〜0.5g程度にする。量が多すぎると、砂糖の加熱や未知物質と塩酸の反応のときに、気泡が試験管口からあふれることがある。

(2) 砂糖と酸化銅(2)の混合物を加熱すると、還元された銅が生ずる。また多量の白煙が発生し、同時に砂糖の分解が進み、次第に淡黄色に変化する。

(3) 未知物質(NaHCO3)と塩酸の反応は激しいので、発生する気体を石灰水に通すのは無理である。1)で作った水溶液を利用し、塩酸を静かに注ぐと、おだやかに反応が進み、CO2を誘導することができる。ここでは二又試験管を使用するのもよい。

(4) 未知物質に含まれるイオン検出のために硝酸銀を用いてもよいが、炭酸銀の白色沈でんが生成するので、この実験を行わせる場合は、あらかじめ、硝酸銀で白色沈でんを生じるもののうち、硝酸で溶解しないものが塩化銀であることを理解させておくことが大切である。


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